2011年4月5日火曜日

震災余波で東京ドームに存続危機

東京ドームは、「試合がないなら広告料を返金すべき」
震災余波で東京ドームに存続危機


できた当時は"夢の球場"でしたが......。
 東京ドームが大ピンチだ。節電のため4月中は使用自粛となっているが、球場内に広告を出している企業が激怒しているという。

 ある企業は、既に3月末で広告から撤退するという。10年以上、広告を出し続けてきた松本歯科大学も7月までに撤退することを検討し始めた。同大学の関係者によると「4月以降に使用が再開できればいいんですが、これから夏に向けて家庭の消費電力も増えるので、この先も使用自粛の可能性が高い。早めに手を打つしかない」と話す。


 ドームの野球使用は約5,000世帯の1日分の消費電力を必要とする。1988年の設立時は「日本初の屋根付き球場」として雨天中止がないと持てはやされたが、デーゲームでもナイターと同じ電力消費量があるという弱点をさらけ出した形だ。

 当初は本拠地とする巨人が節電使用を訴えていたが、ドームの整備担当者に聞いたところ「外の装飾照明は落とせても、使用するなら通路を暗くすることはできない。空気圧で膨らませている屋根を支える送風ファンにも電力を使います。大幅な節電は難しい」というから、夏の使用も非常に厳しい様子だ。

 ドームには自家発電装置もあるが、これは災害時の緊急用で「試合に使うほどの電力を想定したものではない」(同)という。

 東京ドームにとって痛いのは、企業から広告費用返還の相談がきていることだ。ある企業の広報は「試合が全て行なわれる前提で支払った広告料なのだから、試合がないならその分は返金すべき」と交渉する構え。

 株式会社東京ドームは1月、遊園地内で死亡事故があり、さらには所有する後楽園ホールが地震の影響で損傷、3月の予定が軒並み吹っ飛んだ。さらに東京ドームホテルの業績も減少傾向で売却観測も浮上しつつある。

 昨年12月と今年1月、ドームは続けて業績の大幅下方修正していた中だ。今年1月期の予想では純損益9億円の赤字(従来9億円の黒字予想)としていたが、このままではさらに大きな赤字を抱えることも見通される。

 小規模の広告でも年間1,000万円は下らないと言われるドーム広告だが、近年はプロ野球の試合中継も減少し広告効果も下落していた。今回の使用自粛で企業広告が撤退してしまえば、それこそ存続の危機に関わる大ピンチに陥る。

 関係者のなかには「さいたまスーパーアリーナのように避難所として開放してはどうか」という声もあるが、とてもそんな余裕はなさそうだ。
(文=鈴木雅久)

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