2011年3月17日木曜日

けれども、少し安心したまえ

池田信夫氏によれば、以下のようである。
まあ、信じる信じないは、君の自由だが…


原発についての誤解

福島第一原発の3号機の建屋でも、水素爆発が起こったようだ。これは格納容器の弁から排出された蒸気が分解した水素が大気中の酸素と反応しただけで核爆発とは関係ないが、「爆発」という言葉が原爆を連想させて恐怖をかき立て、デマが乱れ飛んでいる。原子力について初歩的なことも理解していない人が多いので、あらためて説明しておく。


西岡参議院議長が「炉心融解すれば原爆が落ちたのと同じような状態になる」と発言したようだが、これはとんでもない間違いである。前にも説明したように、炉心溶融というのは燃料棒が溶融して水蒸気爆発を起こし、圧力容器を破壊して大量の核物質が周囲に飛散する事故である。放射能汚染の範囲は広いが、核爆発のような破壊力はない。

燃料棒が損傷した程度の事故に炉心溶融という言葉を使うと、海外メディアがmeltdownと報道して誤解をまねく。今回も藤崎駐米大使が「メルトダウンは起きていない」とコメントして、官房長官の説明と食い違うと問題になったが、これは政府の勇み足である。枝野氏は「炉心溶融はメルトダウンではない」と説明したが、炉心溶融は英語でmeltdownとかChina syndrome(accident)と訳すのが普通である。

原子爆弾というのは核反応を瞬時に連鎖的に起こして大きなエネルギーを出すものだが、原子炉は核反応を制御棒でコントロールしてゆっくり起こすものだ。今回の事故では緊急停止で制御棒が入ったので連鎖反応は止まっており、核爆発は絶対に起こらない。武田邦彦氏が「核爆発の可能性がある」と書いているが、これも流言蜚語である。

ただ武田氏もいうように、ホウ素を注入しているということは、核反応が部分的に続いているのかもしれない。熱崩壊だけなら(核反応を媒介する)中性子を止めるホウ素は必要ないからだ。最悪の可能性として、溶融した燃料が炉内で反応して再臨界を起こすと、過熱して圧力容器が崩壊する「メルトダウン」は起こりうるが、核爆発は起こりえない。燃料棒のウラン濃度は原爆よりはるかに低いので、まったく制御できなくても核爆発は起こらない。原爆でさえ、核爆発はTNTなどの爆弾で圧縮しないと起こらない。

また現在報じられている程度の被曝量では、人体に影響はない。まして首都圏の人が心配する必要はない。核燃料が原子炉の中に閉じ込められている限り、破局的な放射能汚染は起こらないので、圧力容器を守ることが最優先である。緊急停止から3日たってかなり冷却され、原子炉内が海水で満たされているので、メルトダウンは起こらないと思うが、確率はゼロではない

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