ここで、人間が試されます
放射性物質Q&A:どう対応 ヨウ素、体内8日で半減
福島第1原発の事故で、周辺地域の農作物などへの放射性物質の影響が次々と公表されている。現状や対応策について、専門家の話をもとにまとめた。
◇野菜は洗うか、ゆでれば「低減」
Q 放射性物質で汚染された食品を食べるとどうなるの?
A ヨウ素は甲状腺に取りこまれる性質があり、大量摂取は甲状腺がんのリスクを高める。だが半減期(放射線量が半分になる時期)は8日と短い。東京大付属病院の中川恵一准教授は「ヨウ素は1カ月で16分の1に減り、3カ月もするとほぼゼロになる」という。一方、セシウムは半減期が30年と長い。環境への長期の影響が心配されるが、「体内では排尿などで放出されるので、100日程度で半分になる」(中川准教授)という。
Q 暫定規制値って?
A 食品衛生法に基づき厚生労働省が定めている基準。放射性物質の種類や食品ごとにあり、食品1キログラムあたりの放射能の強さを測る単位「ベクレル」で示される。都道府県などが測定し、規制値を超える食品が見つかると市場に流通しないよう措置が取られる。
Q 「ベクレル」と「シーベルト」との違いは?
A ベクレルは放射線を出す強さの単位で、体への影響を見るにはシーベルトに換算が必要。1キログラムあたり1万5020ベクレルのヨウ素が検出されたホウレンソウを食べたときの影響は0・33ミリシーベルト。日本人の1日の平均摂取量は約15グラムなので、実際の影響は0・0049ミリシーベルトになる。
Q 食べ続けても大丈夫?
A 日本人は普段も摂取した魚や野菜などから年間0・3ミリシーベルトを受けている。関澤純・元徳島大教授によると、ホウレンソウは洗ったり、ゆでたりすれば放射性物質はかなり減る。
牛乳は「最も汚染されたもの(福島県の約1500ベクレル)でも、数回飲むくらいなら自然被ばくの10分の1以下で、飲み続けなければ大丈夫」という。
◇現状、雨にぬれても影響なし
Q 水道水は飲んでいいの?
A 水1リットル(1キログラム)当たりの摂取制限の指標はヨウ素で300ベクレル、セシウムで200ベクレル。福島県内では17日、一時的に308ベクレルのヨウ素が検出された。厚労省は指標を超えた場合、飲用は控えたほうがいいものの、風呂や手洗いなどには問題ないとしている。飲用水がなければ、飲んでも差し支えないとの見解も示している。
Q 雨が降ってきたら?
A 文部科学省は全国の都道府県などに対し、地上に落ちたちりや雨に含まれる放射能を調査し、可能な限り毎日、報告するよう求めている。20日発表されたデータでは栃木や群馬、埼玉などの都県で微量な放射性ヨウ素などが検出されているが、雨にぬれても健康に影響はないと考えていいレベルだ。ただし田中俊一・元原子力委員会委員長代理は「このまま大気中の放射性物質濃度が高い状態が数カ月続くと、健康への影響が心配になってくる」と話す。
できる限り被ばくを抑えたい人は(1)外出は雨がやんでからにする(2)髪や皮膚がぬれないようにする(3)気になる場合は、流水で洗う――ことを心がけたい。
Q 食品の汚染が心配なときはどうやって食べればいい?
A 放射線医学総合研究所のホームページによると、野菜は、洗う▽煮る(煮汁は捨てる)▽皮や外葉をむく――ことで汚染の低減が見込める。
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◆大気中の環境放射線量水準調査結果◆
都道府県名 19日 20日 過去の通常値
北海道 0.028 0.028 0.02 ~0.105
青森 0.021 0.021 0.017 ~0.102
岩手 0.027 0.026 0.014 ~0.084
宮城 ― ― 0.0176~0.0513
秋田 0.035 0.035 0.022 ~0.086
山形 0.040 0.040 0.025 ~0.082
福島 ― ― 0.037 ~0.071
茨城 0.166 0.174 0.036 ~0.056
栃木 0.146 0.153 0.030 ~0.067
群馬 0.075 0.072 0.017 ~0.045
埼玉 0.054 0.052 0.031 ~0.060
千葉 0.033 0.032 0.022 ~0.044
東京 0.046 0.045 0.028 ~0.079
神奈川 0.048 0.047 0.035 ~0.069
新潟 0.046 0.047 0.031 ~0.153
富山 0.047 0.054 0.029 ~0.147
石川 0.047 0.052 0.0291~0.1275
福井 0.045 0.048 0.032 ~0.097
山梨 0.044 0.044 0.040 ~0.064
長野 0.067 0.066 0.0299~0.0974
岐阜 0.061 0.065 0.057 ~0.110
静岡 0.037 0.036 0.0281~0.0765
愛知 0.040 0.040 0.035 ~0.074
三重 0.046 0.048 0.0416~0.0789
※文部科学省発表。19日は午後11時~20日午前0時観測、20日は午後4~5時観測。単位はマイクロシーベルト毎時。宮城、福島は計測できず
ラベル: 日常
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