武田先生のご意見です
野菜パート2(セシウム)
ホウレンソウについていた放射性ヨウ素は、最初は1万5000ベクレルぐらいで、それから一時は5万ベクレルぐらいまでいきました。
それが徐々に減って、今では最初の100分の1、つまり140ベクレルぐらいまで下がっています.
先回に計算したホウレンソウについているヨウ素は、1時間に4.65マイクロシーベルトの被ばくに相当していましたから、今ではそれが0.047マイクロシーベルトになったということがわかります。
これはヨウ素の半減期が短いので、少しずつ減ってきていることを示していて、
「最初に逃げるのが大切、最初に汚染されたものを食べない注意が必要」
ということがよく分かります.
今後、ホウレンソウの汚染が140ベクレルで続くとすると、最初の4日間だけ我慢したら、たとえホウレンソウが放射性ヨウ素で汚染されていても、これから728日、つまり約2年間は安心して食べることができるということです。
「被ばくを避けるのは貯金」
ということが判ります.マイナスの貯金という感じでしょうか、最初の被ばくを避けておけば、ずいぶん、生活に余裕ができます。
・・・・・・・・・
さて、次にセシウムを計算してみましょう.
セシウムは最初359ベクレルでしたが、セシウムは100で割って1.3をかけるとマイクロシーベルトになりますから、5マイクロシーベルトになります。
前の回に書いたヨウ素(319マイクロシーベルト)に比べると、3月中旬にはヨウ素に比べて、セシウムはかなり低かったことが判ります.
でも、時間が経つと、ヨウ素が減り、セシウムは余り代わらないので、だんだん、セシウムの比率が上がってきます.
たとえば、4月22日には、ヨウ素が140ベクレルでセシウムが119ベクレルとほぼ同じになりました。
・・・・・・・・・
これからヨウ素も少し減り(100)、セシウムも若干減り気味(100)して、
「日立産のホウレンソウなどの野菜を食べ続けると、どのぐらいの内部被ばくになるか」
をザッと計算してみます.
1. ヨウ素はベクレルを100で割って2.2をかける。セシウムは100で割って1.3をかけるとマイクロシーベルトになる、
2. 毎日、野菜を350グラム食べる(国の“健康21”から)、
3. ヨウ素とセシウムの他は無視する、
そうすると、1年の内部被ばく(野菜1キロあたり)はヨウ素2.2+セシウム1.3=3.5マイクロシーベルトになり、一日に350グラムの野菜を食べるとすると、1.23マイクロシーベルト、つまり、1時間に0.05マイクロシーベルトになります。
・・・・・・・・・
なーんだ、やはり自治体の言っている通り、「日立市のホウレンソウは安全」じゃないかとおもいますが、違うのです.
一般人が被ばくして良い限界(自分の体がなんとか被ばくの害を直すことができる限界)は1年1ミリシーベルトで、1時間あたり0.11マイクロシーベルトになります。
ある家庭が頑張って、お子さんの被曝量を1時間0.10マイクロシーベルトにして、お子さんを守っていたとします.
でも、そのご家庭が日立市のホウレンソウや鉾田市のパセリを、「安全だ」という自治体の宣伝を信じて買ったとします. 市民が市長の言うことを信じるのは良いことです.
ところが、そのご家庭の子供は、空間の放射線からすでに0.10マイクロシーベルトを受けているので、それに野菜からの0.05が足されるので、合計が0.15マイクロシーベルトになります。
これは年間で1.3ミリシーベルトになりますから、1ミリ以内に納めたいというお母さんの努力は水の泡になることが判ります。
・・・・・・・・
つまり、「野菜だけが汚染されている」と言うときには、「規制値以下」なら「安全」なのですが、「どこもかしこも汚染されている」という最近のような状態では、
「個別の野菜や牛乳が規制値以下でも安全とは言えない」
ということが判ります.
お役所は「縦割り」です。お役人には理解ができないことです。
文科省は空気中の放射線だけを測って「安全だ」と言い、農水省は野菜の汚染だけを測って規制値以下のものを「安全だ」と言います。また水道局は水だけを言っています.
しかも、水道はWHOが1ベクレル(1リットルあたり)、3月17日まで10ベクレル、3月18日から300ベクレルと規制値を上げてきました。ドイツが0.5ベクレルだから、日本の基準はその600倍です。
つまり、市長やお役人は、被ばくする子供や女性のことを考えず、「縦割り行政の範囲では基準内」と言っているに過ぎないことが判ります.
おそらく、福島、茨城の野菜は、4月22日の日立市のホウレンソウ、鉾田市のパセリなみで続くでしょう.そうすると、福島や茨城の野菜を食べ続けると、ヨウ素とセシウムだけを考えても、1時間0.05は足さなければなりません。
その人が被ばくできる限界から見ると、0,11マイクロの約2分の1で、人間は野菜だけを食べていませんから、魚、肉、牛乳などを加えると、やはり0.05の2倍ぐらいの0.11ぐらいは被ばくすると考えられます.
・・・・・・・・・
長い旅でしたが、ホウレンソウのヨウ素から計算をし始めた結果は、
1. 少しでも汚染された野菜や肉、魚を買うと、計算式の係数は、外部が1.0の時、食材で1.0を足して、2.0になる、
2. もし、空気の放射線が0,11の時、
0.11×2×8760=2ミリシーベルト
になる、
となります。
福島、茨城の農家や漁業の方が、出荷を自粛してくれたらよいのですが、もし出荷するなら、私たちは自衛のために、北関東と宮城の農作物は遠慮した方が良いでしょう.
・・・・・・・・・
福島を汚したのは関東の子供ではありません。保安院と東電です.
保安院と東電のミスを東京や近県の子供達に「被ばくで負担させる」のは可哀想です.
是非、農業、漁業のかたは「東電の恨みを関東の子供達の被ばくではらす」ということを止めてください。
連休明けの生活の被ばく:
● 北関東、宮城の農産物、漁業製品をまったく買わない人、
係数 1.0
● スーパーが売っているものを選ばずに買う
係数 2.0
● 本当は汚染されていない野菜を買いたいのだけれど、スーパーが「地産地消」を主張して、子供達に被ばくさせたいと思っている地域の人は程度問題ですが、
係数 1.5
ぐらいで計算してください。
魚については少し後に整理することにして、次は「日常の行動と被ばく」に進みます。
(平成23年4月30日 午後9時 執筆) 武田邦彦
ホウレンソウについていた放射性ヨウ素は、最初は1万5000ベクレルぐらいで、それから一時は5万ベクレルぐらいまでいきました。
それが徐々に減って、今では最初の100分の1、つまり140ベクレルぐらいまで下がっています.
先回に計算したホウレンソウについているヨウ素は、1時間に4.65マイクロシーベルトの被ばくに相当していましたから、今ではそれが0.047マイクロシーベルトになったということがわかります。
これはヨウ素の半減期が短いので、少しずつ減ってきていることを示していて、
「最初に逃げるのが大切、最初に汚染されたものを食べない注意が必要」
ということがよく分かります.
今後、ホウレンソウの汚染が140ベクレルで続くとすると、最初の4日間だけ我慢したら、たとえホウレンソウが放射性ヨウ素で汚染されていても、これから728日、つまり約2年間は安心して食べることができるということです。
「被ばくを避けるのは貯金」
ということが判ります.マイナスの貯金という感じでしょうか、最初の被ばくを避けておけば、ずいぶん、生活に余裕ができます。
・・・・・・・・・
さて、次にセシウムを計算してみましょう.
セシウムは最初359ベクレルでしたが、セシウムは100で割って1.3をかけるとマイクロシーベルトになりますから、5マイクロシーベルトになります。
前の回に書いたヨウ素(319マイクロシーベルト)に比べると、3月中旬にはヨウ素に比べて、セシウムはかなり低かったことが判ります.
でも、時間が経つと、ヨウ素が減り、セシウムは余り代わらないので、だんだん、セシウムの比率が上がってきます.
たとえば、4月22日には、ヨウ素が140ベクレルでセシウムが119ベクレルとほぼ同じになりました。
・・・・・・・・・
これからヨウ素も少し減り(100)、セシウムも若干減り気味(100)して、
「日立産のホウレンソウなどの野菜を食べ続けると、どのぐらいの内部被ばくになるか」
をザッと計算してみます.
1. ヨウ素はベクレルを100で割って2.2をかける。セシウムは100で割って1.3をかけるとマイクロシーベルトになる、
2. 毎日、野菜を350グラム食べる(国の“健康21”から)、
3. ヨウ素とセシウムの他は無視する、
そうすると、1年の内部被ばく(野菜1キロあたり)はヨウ素2.2+セシウム1.3=3.5マイクロシーベルトになり、一日に350グラムの野菜を食べるとすると、1.23マイクロシーベルト、つまり、1時間に0.05マイクロシーベルトになります。
・・・・・・・・・
なーんだ、やはり自治体の言っている通り、「日立市のホウレンソウは安全」じゃないかとおもいますが、違うのです.
一般人が被ばくして良い限界(自分の体がなんとか被ばくの害を直すことができる限界)は1年1ミリシーベルトで、1時間あたり0.11マイクロシーベルトになります。
ある家庭が頑張って、お子さんの被曝量を1時間0.10マイクロシーベルトにして、お子さんを守っていたとします.
でも、そのご家庭が日立市のホウレンソウや鉾田市のパセリを、「安全だ」という自治体の宣伝を信じて買ったとします. 市民が市長の言うことを信じるのは良いことです.
ところが、そのご家庭の子供は、空間の放射線からすでに0.10マイクロシーベルトを受けているので、それに野菜からの0.05が足されるので、合計が0.15マイクロシーベルトになります。
これは年間で1.3ミリシーベルトになりますから、1ミリ以内に納めたいというお母さんの努力は水の泡になることが判ります。
・・・・・・・・
つまり、「野菜だけが汚染されている」と言うときには、「規制値以下」なら「安全」なのですが、「どこもかしこも汚染されている」という最近のような状態では、
「個別の野菜や牛乳が規制値以下でも安全とは言えない」
ということが判ります.
お役所は「縦割り」です。お役人には理解ができないことです。
文科省は空気中の放射線だけを測って「安全だ」と言い、農水省は野菜の汚染だけを測って規制値以下のものを「安全だ」と言います。また水道局は水だけを言っています.
しかも、水道はWHOが1ベクレル(1リットルあたり)、3月17日まで10ベクレル、3月18日から300ベクレルと規制値を上げてきました。ドイツが0.5ベクレルだから、日本の基準はその600倍です。
つまり、市長やお役人は、被ばくする子供や女性のことを考えず、「縦割り行政の範囲では基準内」と言っているに過ぎないことが判ります.
おそらく、福島、茨城の野菜は、4月22日の日立市のホウレンソウ、鉾田市のパセリなみで続くでしょう.そうすると、福島や茨城の野菜を食べ続けると、ヨウ素とセシウムだけを考えても、1時間0.05は足さなければなりません。
その人が被ばくできる限界から見ると、0,11マイクロの約2分の1で、人間は野菜だけを食べていませんから、魚、肉、牛乳などを加えると、やはり0.05の2倍ぐらいの0.11ぐらいは被ばくすると考えられます.
・・・・・・・・・
長い旅でしたが、ホウレンソウのヨウ素から計算をし始めた結果は、
1. 少しでも汚染された野菜や肉、魚を買うと、計算式の係数は、外部が1.0の時、食材で1.0を足して、2.0になる、
2. もし、空気の放射線が0,11の時、
0.11×2×8760=2ミリシーベルト
になる、
となります。
福島、茨城の農家や漁業の方が、出荷を自粛してくれたらよいのですが、もし出荷するなら、私たちは自衛のために、北関東と宮城の農作物は遠慮した方が良いでしょう.
・・・・・・・・・
福島を汚したのは関東の子供ではありません。保安院と東電です.
保安院と東電のミスを東京や近県の子供達に「被ばくで負担させる」のは可哀想です.
是非、農業、漁業のかたは「東電の恨みを関東の子供達の被ばくではらす」ということを止めてください。
連休明けの生活の被ばく:
● 北関東、宮城の農産物、漁業製品をまったく買わない人、
係数 1.0
● スーパーが売っているものを選ばずに買う
係数 2.0
● 本当は汚染されていない野菜を買いたいのだけれど、スーパーが「地産地消」を主張して、子供達に被ばくさせたいと思っている地域の人は程度問題ですが、
係数 1.5
ぐらいで計算してください。
魚については少し後に整理することにして、次は「日常の行動と被ばく」に進みます。
(平成23年4月30日 午後9時 執筆) 武田邦彦
ラベル: 社会
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