2011年6月18日土曜日

こういう方も発言なさるようになりました

三ヶ月たった。政府の方ではやるのに、テレビや新聞は、このままシラをきって逃げ
きる気か。いくら公式発表に従ったとはいえ、おまえらが垂れ流したのは、初日から
まったくの大誤報だったじゃないか。放射能は直後からダダ漏れで、ドハデに大爆発
は続くわ、五重のなんとかもぜんぶ底抜けにメルトダウンはするわ、鳴り物入りで駆
けつけたフランスだの米国だの専門家チームも役に立たないわ、汚染水は結局、自分
たちで海に捨てちゃうわ、ひとつたりとも報道どおりだったことが無いくらい、ひど
い誤報だらけだ。

それもこれも、テレビや新聞が、ウラも取らず、疑いもせず、それどころか、喜々と
して政府と東電のケツ持ちをやったせいなのだから、そりゃもう報道機関として自殺
行為だった。もうあんたらの話なんか、だれも信用していない。このままほとぼりが
冷めるまで、おためごかしの被災者同情を振りまき続けていたとしても、ごましきれ
ると思うなよ。

なぜノーチェックで、加害当事者である政府や東電の言い分を流したのか。人を包丁
で突き刺した殺人犯が、ただちには死なない、などと言うのを、そのまま記事にする
バカ記者がどこにいるよ。報道機関に専門知識が無かった、などという言いわけが通
用するか。まともな専門家に聞きもしなかったじゃないか。それどころか、トンデモ
な連中に、トンデモな解説をさせ、混乱と誤解とウソを助長させただけ。あの日、あ
の時、誰が何を言ったか、司会者やコメンテーターを含め、私たちはけっして忘れて
はいないぞ。

今回の大誤報、歪曲報道の背景として疑われている買収の問題はどうする。報道機関
がカネで身を売っていたとなれば、放送免許停止こそが当然だ。まして、この重大事
故の後でも、いまだに電気代だの、広告費だの、加害者側の電力会社のおこぼれにぶ
らさがっているなら、人間として頭がおかしい、としか言いようがあるまい。いった
いどうやって、これから先に、公正、中立、客観の報道ができると思うのか。

誰の味方なのか、立場をはっきりしろよ。視聴者を集めているから、広告が売れるん
で、視聴者がそっぽを向いたら、出稿するスポンサーも無くなるぞ。実際、ネット上
の人々は、英語やドイツ語、中国語、その他の言語圏の情報ソースの方が依存度が高
くなってしまっている。政府発表やマスコミの話より、シロウトが自分たちで勝手に
測定したデータの方が信頼性が高くなってしまっている。この状況で今のテレビや新
聞は、危機感を持たないのか。それなら、まさに東電と同じだな。かってにしろ。

もしまだ既成組織の腐敗に染まっていない若手のまともな報道人がいたなら、よく考
えてみろ。どうして海外の報道人の中に、少なからず初日から状況を的確に把握でき
ていた連中がいたのか。彼らがどういう情報源を使ったのか。いや、特別ななにかな
ど、ありはしない。大阪地検じゃないが、自分たち自身の眼の曇りほど、恐ろしいこ
とはないぞ。すべての先入観を絶ち、きちんと自分自身の眼と耳を働かせ、冷静に自
分自身の頭で考えればいいだけだ。爆風が水平に広がるか、垂直に登るか、の違いだ
けでも、爆発元の深さがわかる。細々とした情報をできるだけ多く集め、それらを、
もう一度、組み直して、そのすべてが整合的になるところに真実はある。ひとつひと
つは口から出まかせで人を煙に巻けても、全体まではウソはつじつまを合わせをでき
はしない。

報道の仕事の原点を思い出せ。悪人はウソをつくものだ。眼や耳は、見えないもの、
聞こえないものを、存在もしないと思わせるものだ。そして、なにより、人間の心は
権威には弱いものだ。だが、その弱さを乗り越え、真実に迫ってこそ、報道としての
社会の使命じゃないのか。

いま、自分たちの報道組織の内部に腐敗があり、今回の大誤報をごまかしてやり過ご
そうとするなら、まずその問題にこそ眼を向けるべきだ。そこから眼を背け、今回、
報道をゆがめようと社内でうごめいた連中を自分たちで自浄できないなら、今後、だ
れひとり報道人として、生きて口を開く資格はない。

(純丘曜彰 博士 大阪芸術大学芸術計画学科教授/元テレビ朝日報道局報道制作部
『朝まで生テレビ!』ブレーン)

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