あれは、構造的な犯罪でもあります
東京・秋葉原殺傷:加藤被告に死刑 被害男性「何が真実だったのか」 内面見えぬまま
白昼の秋葉原を恐怖と混乱に陥れた加藤智大(ともひろ)被告(28)に極刑が言い渡された。法廷で謝罪の言葉を重ねる一方、心を閉ざすかのように親友や被害者の面会を拒絶してきた被告は、身動きしないまま判決を受け止めた。「何が真実だったのか」。事件を語り継いできた被害者の元タクシー運転手、湯浅洋さん(57)は判決後、やるせない思いを募らせた。
「この上なく重い刑です。理解できましたか」。24日午後3時過ぎ、東京地裁104号法廷。判決を読み終えた村山浩昭裁判長に問われると、加藤被告は「はい」と小さく答え、いつも通り傍聴席の被害者に向かって深々と一礼した。「死刑判決を受け入れる気持ちになっているのか」。湯浅さんはそう感じたが、被告の内面はうかがえなかった。
被害に遭った後、湯浅さんは事件を考える集会に参加した。若者たちが「加藤さん」と被告に共感を持つ様子が気になり、事件をもっと知りたいと思った。
被告は自身の3人の子供と同年代。被告に死刑を求めるのは「割り切れない」とも思うが「法の最高刑が死刑である以上、死をもって償うべき事件。死刑以外は考えられない」という。
10年1月から30回に及んだ公判の多くを傍聴した。無表情で淡々と話す被告の姿が印象に残った。「君の人となりが見えない」。今月、被告に手紙を出し、東京拘置所に2度足を運んだが、被告に拒否されて面会はかなわなかった。
被告に刺された右脇腹の約15センチの傷が今も時折うずく。しびれは一生消えないと医者に言われた。「分からないことがたくさんある。第2、第3の加藤被告を生まないために、いろんな人に考えてもらいたい。今後も経験を語り続け、加藤被告本人の話も聞きたい」。傷とともに歩み、事件を考え続けるつもりだ。【伊藤直孝】
◇被告父「見守るしかない」
「何であんなことしたのか本人にも分かってないのでは……」。加藤被告の父親(52)は青森市内で7日「私らとしては見守るしかない」と心境を語った。被害者に対しては「ただただ申し訳ない」と沈痛な表情で謝罪した。
加藤被告は法廷で、事件の背景として「小さい頃の母の育て方が影響した」と語り、24日の判決も「母親の虐待とも言える養育によって人格にゆがみが生じた」と指摘した。
だが父親は被告の発言について「後付けの理由のように思う。よそさまと比べて教育がそれほど違っていたとは思いません」と述べた。自身は仕事で忙しく、被告の教育にほとんど関与しなかったといい「子供のことは妻がやると決めていて、口を出すのは良くないと思った。ただ、どこの家庭にもあることでは」と話した。
判決後の対応は「本人が決めること。私らがどうこう言う筋合いではありませんので」と言葉少なだった。被告は弁護人以外との面会に応じておらず、両親も事件後、本人に会っていないという。【伊藤直孝】
ラベル: 社会
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