放射能漏れ
高濃度の水漏れ、配管原因か 循環復旧長期化の恐れ2011.3.26 22:36
女川原発に続く道沿いの駐車場には、避難者の車が止まっている=25日、宮城県女川町(徐暎喜撮影)
福島第1原子力発電所1~3号機の発電用タービン建屋地下にたまっている高濃度の放射性物質(放射能)を含む水は、原子炉につながる配管や弁、ポンプが損傷して漏れ出している可能性が高まってきた。この水が海に流れ込んでいる恐れもある。高水準の放射線量で作業ができなくなるだけでなく、安定化に不可欠な原子炉内の水を循環させて冷却する機能の復旧にも大きな障害となる。東京電力や経済産業省原子力安全・保安院では、損傷場所を迂(う)回(かい)して循環させることなどを検討しているが、復旧までの時間が長期化する恐れが出てきた。
1、3号機の水からは核分裂生成物のセシウム134などが高い濃度で検出されており、東電は「最近まで核分裂を起こしていた燃料に接していた」と判断している。過熱による溶融で燃料棒から漏出した大量の放射性物質が水に含まれ、通常運転時の1万倍の高濃度になったとみられる。
また原子炉を覆う格納容器は内部の圧力が安定していることから大きな損傷はなく、配管などの損傷が原因との見方を強めている。
東電が採用している「沸騰水型原子炉(BWR)」は、燃料棒のある炉心で発生した蒸気を直接、タービンに送って回転させ、発電している。蒸気は復水器で冷やして水に戻し再び原子炉に送り込む仕組みだ。原子炉とは別の蒸気発生器を使う「加圧水型(PWR)」よりも、タービンも含め広範囲に汚染水が循環するため、厳重に閉じ込める必要がある。
原子炉とタービン間の循環以外にも、外部から海水との熱交換で冷やした水を循環させ、燃料棒を冷やすシステムがある。現在の原子炉への給水だけでは、水は蒸発してしまい十分な冷却効果は得られず、循環・冷却の復旧は急務だ。
ただ仮にポンプが無事でも配管や弁が損傷していると気密性が失われ、循環ができない恐れがある。タービン建屋の地下には配電盤やポンプなど重要な設備があるが、放射線量が高く、修理や交換ができない状態にある。
最優先の課題は、損傷場所の特定だ。東電は中央制御室の計測機器の復旧を急ぎ、圧力などのデータなどから探っていく考え。また放射線量を下げるため、水中ポンプを使い水を排水する作業も急いでいる。
保安院は「どこかで漏れてくれば別のルートを使う。ルートの切り替えは漏れている場所が分かればできる」と、循環は可能とみている。東電も「発想の転換が必要になる」とし、損傷を想定した代替ルートの検討に入った。
一方で、保安院は「水の除去ができるのか、機器の回復ができるのかなど、いくつものハードルがある」とし、復旧の見通しの厳しさも指摘している
ラベル: 社会
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