2011年4月13日水曜日

モデル業界にも震災余波 外国人モデルは帰国相次ぎ、国内イベントも続々中止で大混乱

東日本大震災による福島第一原子力発電所の放射能漏れを恐れて、外国人モデルが日本から大量脱出しているが、国内でもファッションショーなどのイベントの中止・延期が続いている。

 3月13日に予定されていた「東京ガールズコレクションナイト in 沖縄」が中止されたのを皮切りに、同21日から予定されていた「東京コレクション」をはじめ、都内で予定されていたファッションショーやブライダルショーは軒並み中止や規模を縮小しての延期となっている。大手ファッション誌やメジャーなショーで活躍できるモデル以外にとって、都内のホテルのファッションショーやブライダルショーは貴重な収入源だったため、事態は深刻だ。

 あるショーモデルは、「モデルのほとんどは、アルバイトをしつつ、小さなショーに出てメジャーになるチャンスを狙っているんです。ところが、震災でその仕事もなくなりましたからね。さすがに、モデルをやめる子が続出してますよ」と悲嘆している。

 一方で、夢を捨てきれないモデルはお互い情報を交換し合って、関西以西の仕事を探しているという。モデル事務所が多い大阪・神戸・福岡などでは、比較的予定通りにファッションショーが開催されているようだ。

 また、モデルの失業だけではなく、モデル事務所の倒産も出てきているという。"美の総合商社"と言われるモデル業界最大手「オスカープロモーション」の幹部も、「モデル業界そのものが以前から不況でしたからね、今回の震災で仕事がなくなって、つぶれたモデル事務所があると聞いてますよ」と言う。

 日本音楽事業者協会のように、モデル業界にもプロダクションが集まった「日本モデルエージェンシー協会」という団体がある。日本には約140社のモデルプロが存在していると言われているが、同協会に加盟しているプロは80社あまり。

「音事協のようにしっかりした団体ではありませんよ。クライアントやメディアに対して影響力があるわけでもない。月会費3万円なんですが、支払いが滞る事務所もあるくらいですからね。そもそも、モデル業界なんて華やかそうに見えるけど、渋い世界なんです」と話すのは中堅モデルプロオーナー。

「バブル時代は、銀座や渋谷で石を投げればモデルに当たると言われていたほどモデルがあふれていたんですが、バブルがはじけて以降モデルの仕事は激減。さらに、広告不況でデパートのチラシの仕事すら減ったんです。そのあたりから、モデルをタレント化しようという動きが活発になるのですが、このご時世でイベント出演というタレント仕事も激減。しゃべりがうまいとかやキャラが立つようなモデルしか生き残れません」(同オーナー)

 読モなどというコストが抑えられる素人モデルがもてはやされる一方で、"魅せるプロ"であるべきファッションモデルの苦難の時代はまだまだ続きそうだ。
(文=本多圭)

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