疑心
この事実は、短編集「初陣」のなかの一編「試練」に明記されている。
ま、作者はそこまで確信的ではなかったにしろだ。
で、その恋愛というのがややこしい。
あちらこちらに堕ちている恋愛ではないのだ。
つまりは、例の地獄のような異次元空間に陥れる恋愛、そいつに主人公、竜崎がはまってしまうのだが、まいった、まいっただ。
この種の地獄のような恋愛を体験するにはそれなりの資格がいる。
幸か不幸か竜崎はその資格を持ってしまっていた。
で、どうなるかなのだが、それを「婆子焼庵」という禅の話をぶち込むことで何とかしようとするわけなのだが、なんとかなったかどうか。
それは、読者が判断すればいい。
ラストに出てくるアイヌ語の「エオリパク」が、カタルシスを呼ぶ。
もし「試練」を読んでしまっているとすれば、「エオリパク」にはなんだかこそばゆいような恋愛の甘い響きがある。
もし「試練」を読んでしまっているとすれば、「エオリパク」にはなんだかこそばゆいような恋愛の甘い響きがある。
上出来ではないかな、恋愛小説として。
もっとも、警官の恋愛としては「インビジブルレイン」のなかの姫川玲子とあの長身のやくざとの恋愛のほうが数段エロティックで優れているかな。
もっとも漱石の恋愛を一概に否定するのもなんだかなあという気もするのですが…
ラベル: 小説
0 件のコメント:
コメントを投稿
登録 コメントの投稿 [Atom]
<< ホーム