チェルノブイリ事故の場合
石棺 [編集]
4号炉は事故直後、大量の作業員を投入し、石棺と呼ばれるコンクリートの建造物に覆われた。石棺の耐用年数は30年とされており、老朽化への対策が望まれている。
事故後、放射能汚染により人が立ち入ることができなかったことから原発事故の直撃を受けた職員の遺体が搬出されることがなかった。事故直後無防備のまま炉の中に入った数名の作業者の行方がわからず、現在も、石棺の中に数名の職員の遺体があるとみられる。遺体はおびただしい放射能を帯びているため、搬出できるまでには数世紀かかるとみられている。
石棺の中では、放射性物質拡散防止のために特殊な薬剤が散布されているが、大半が外部に流出しているとみられている。
将来の補修の必要性 [編集]
石棺はこの場合効果的な封印手段ではなく、石棺の建設は応急処置である。大半は産業用ロボットを用いて遠隔操作で建設されたために老朽化が著しく、万が一崩壊した場合には放射性同位体の飛沫が飛散するリスクがある。より効果的な封印策について多くの計画が発案、議論されたが、これまでのところいずれも実行に移されていない。国内外から寄付された資金は建設契約の非効率的な分散や、杜撰な管理、または盗難に遭うなどして浪費される結果となった。
年間4,000kl近い雨水が石棺の中に流れ込んでおり、原子炉内部を通って放射能を周辺の土壌へ拡散している。石棺の中の湿気により石棺のコンクリートや鉄筋が腐食しつづけている。
その上事故当時原子炉の中にあった燃料のおよそ95%が未だ石棺の中に留まっており、その全放射能はおよそ1,800万キュリーにのぼる。この放射性物質は、炉心の残骸や塵、および溶岩状の「燃料含有物質 (FCM)」から成る。このFCMは破損した原子炉建屋を伝って流れ、セラミック状に凝固している。単純に見積もっても、少なくとも4tの放射性物質が石棺内に留まっている。
シェルター構築計画 [編集]
シェルター構築計画 (SIP) は、現在4号炉を覆っている石棺の上に、新安全閉じ込め設備 (NSC) と呼ばれる、石棺を覆うようにして滑らせる可動式のアーチを建設し、それを使用して石棺内にあるとされる放射性物質や汚染された瓦礫などを排除し、4号炉の中にある放射能をゼロにするという計画である。放射能や水の汚染などの問題解決が期待されるが、建設に莫大な費用(推定コストは7億6800万ドル)や労力がかかるという問題がある。NSCの概念設計は、高い放射線場を避けるためシェルターから離れた場所で建設してから取り付ける方式をとる。NSCは史上最大級の可動式構造物になることが想定される。
チェルノブイリシェルター基金は1997年のデンバーG7サミットでシェルター構築計画に資金を提供するために設立された。
シェルターはベクテル、バッテル、フランス電力公社によって管理される予定。
ラベル: 国際情勢
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