震災被害はいまも進行中
菅くん、問題は、福島原発事故だけではないのだよ。
君たちの限定合理性が試されている。
決して、自分たちだけで魁決しようとしてはいけない。
知性を集結したまえ。
それにしててもが、限定合理性に阻まれた知性だということは、
知悉しておかなければならない。
われわれは、いまのところ、君に頼るしかないのです。
菅総理、よろしくお願いします。
■ 横山和正:順天堂大学脳神経内科 医局長
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■from MRIC
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順天堂大学脳神経内科 医局長の横山和正と申します。
未曾有の大地震により主治医とのコンタクトがとれずお困りの患者さんも多いと思
います。また開業医や被災地に応援に出かけた医師の方々も自分の専門外の患者さん
の中で特に迷うのは神経内科の病気と思います。
神経内科という科自体が一般の方にはなじみもないかもしれませんが脳血管障害、
てんかんや厚生労働省で特定疾患に指定されている多くの難病(パーキンソン病、多
系統萎縮症、重症筋無力症、多発性硬化症など)を専門に診ております。これらの疾
患は十分な薬剤コントロールが必要な病気が多く経験豊富な医師のアドバイスが重要
です。
我々順天堂大学では救急および循環器内科を中心にすでに被災地への医師派遣も行
っておりますが、神経学教室では今のところ後方支援を中心としてこの震災に立ち向
かう覚悟でございます。詳細は http://www.juntendo-neurology.com/
今回は薬剤の継続が必要な疾患に関して簡潔に情報をご提供いたします。
○脳血管障害
患者さんは十分な水分摂取と下肢の運動が必要です(歩行可能な方は定期的に歩く
だけで十分です)。麻痺のある方は周りの方が床ずれができないよう注意が必要です。
車いすレベルの方は膝関節の拘縮や下肢の深部静脈血栓(エコノミークラス症候群)
を起こすと(左に起きやすい)時に心臓にある静脈と動脈系の経路から血栓が逆流し
て脳塞栓になることがあります。
バイアスピリンを飲んでいる方はストレスによる胃潰瘍に注意しましょう。効果は
7日で切れます。
プレタールを飲んでいる方は動悸やめまいなど体調が悪いと出るかもしれません。
動作をゆっくりにしましょう。効果は3日で切れます。
ワーファリンを飲んでいる方は外傷や転倒に注意し食べ物も不規則になるので可能
であればPT-INRを早期に確認してもらいましょう。効果は2日で切れます。ワーファ
リンは夕方に飲んで翌朝採血です。
脳出血の方や動脈瘤がある方はストレスと寒さで血圧が高くなっているので塩分が
多くならないように注意してください。高血圧の薬はなくならないように注意しまし
ょう。利尿薬を飲んでいる方は脱水に注意してください。
○てんかん
痙攣予防のために抗てんかん薬は必ず飲みましょう。不眠やストレスなどが発作の
引き金になることがあります。大変な環境下とは思いますが規則正しい生活を心がけ
てください。多くの患者さんは震災前に30~90日分の処方をされていると思いますが、
今のところ抗てんかん薬の製造は問題なく、時間とともに被災地にも十分な量が届く
と思います。急にやめるとそれだけで発作が起こることもあるので、薬がなくなる前
に受診しましょう。 http://www.neurology-jp.org/news/emergency.html
意識を失う痙攣、もしくは過去に痙攣重積状態になったことがある方は、できるだ
け自分の過去の経過と内服歴をメモに書き出し肌身はなさず持っていましょう。
○パーキンソン病
急に薬をやめると筋肉が固くなったり、熱が出たり、意識が悪くなって場合によっ
ては筋肉が溶ける状態になって急性の腎障害に至ります。多くの薬を飲んでいる場合
はお薬手帳を携行しましょう。
薬の量が足りないとうまく動ける時間が少なくなることもあります。転倒や寝たき
りにならないように周りの方のサポートが必要です。
また認知症を伴っている場合には幻覚・妄想を抑えるために統合失調症でよく使用
されているお薬を服用していたのを急にやめてしまうと幻覚や譫妄状態となり昼夜逆
転や夜間徘徊、正常な会話ができなくなる方もまれにいらっしゃいます。外に出て迷
ってしまわないように注意が必要ですし避難所での居住は不可能です。
○多系統萎縮症
喀痰の排泄障害や嚥下障害、排尿・排便障害などを薬でコントロールしていること
が多いため、被災地では特に肺炎や尿路感染症、腸閉塞に注意が必要です。
○重症筋無力症
免疫抑制剤(タクロリムス、ネオーラル)やステロイドは決めた用量を守りましょ
う。
ただしストレスが多い被災地での環境下では感染症のリスクが上がります。以前に
結核を行ったことのある方は微熱や夜の多汗に注意してください。皮膚も弱くなって
いるので可能であれば保湿をお願いします。
全身型の方で全身症状が少しでもある方はできるだけ被災地から離れて医療を受け
てください。胃潰瘍の危険性があるので抗潰瘍薬は急にやめないようにしましょう。
ステロイド内服で骨粗鬆症の薬(ビスフォスフォネート)を内服している方は口腔
内を清潔にして、女性の方は重い物を持たないようにしましょう。
ステロイドを急にやめるとステロイド離脱症状が出ます。からだのだるさや発熱し
た場合には注意し、下痢、低血糖による意識障害も起こることがあります。
免疫抑制剤の一部は腎機能が悪化することもあります。十分な栄養と水分の摂取が
必要です。
○多発性硬化症
インターフェロンや免疫抑制剤を使用している方は急にやめずに治療を継続してく
ださい。治療薬は十分あります。免疫抑制剤使用の方に関しては感染に注意すること
が必要です。再発時はステロイドパルス療法が必要ですが免疫力が落ちるので感染に
注意が必要です。
○NMO(視神経脊髄炎)
ステロイド少量もしくは免疫抑制剤を内服していると思います。再発時にはステロ
イドパルス療法とその後の内服ステロイド治療、また時には血液浄化療法が必要です。
総合病院での治療が必要となりますが、治療中・後はかなり免疫力が落ちますので被
災地を離れた場所での治療が望ましいと思います。
その他の疾患に関しましてもご不明な点などございましたら以下までご連絡いただ
ければ幸いです。
nounaihelp@juntendo.ac.jp
FAX 03ー5800ー0547
君たちの限定合理性が試されている。
決して、自分たちだけで魁決しようとしてはいけない。
知性を集結したまえ。
それにしててもが、限定合理性に阻まれた知性だということは、
知悉しておかなければならない。
われわれは、いまのところ、君に頼るしかないのです。
菅総理、よろしくお願いします。
■ 横山和正:順天堂大学脳神経内科 医局長
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■from MRIC
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順天堂大学脳神経内科 医局長の横山和正と申します。
未曾有の大地震により主治医とのコンタクトがとれずお困りの患者さんも多いと思
います。また開業医や被災地に応援に出かけた医師の方々も自分の専門外の患者さん
の中で特に迷うのは神経内科の病気と思います。
神経内科という科自体が一般の方にはなじみもないかもしれませんが脳血管障害、
てんかんや厚生労働省で特定疾患に指定されている多くの難病(パーキンソン病、多
系統萎縮症、重症筋無力症、多発性硬化症など)を専門に診ております。これらの疾
患は十分な薬剤コントロールが必要な病気が多く経験豊富な医師のアドバイスが重要
です。
我々順天堂大学では救急および循環器内科を中心にすでに被災地への医師派遣も行
っておりますが、神経学教室では今のところ後方支援を中心としてこの震災に立ち向
かう覚悟でございます。詳細は http://www.juntendo-neurology.com/
今回は薬剤の継続が必要な疾患に関して簡潔に情報をご提供いたします。
○脳血管障害
患者さんは十分な水分摂取と下肢の運動が必要です(歩行可能な方は定期的に歩く
だけで十分です)。麻痺のある方は周りの方が床ずれができないよう注意が必要です。
車いすレベルの方は膝関節の拘縮や下肢の深部静脈血栓(エコノミークラス症候群)
を起こすと(左に起きやすい)時に心臓にある静脈と動脈系の経路から血栓が逆流し
て脳塞栓になることがあります。
バイアスピリンを飲んでいる方はストレスによる胃潰瘍に注意しましょう。効果は
7日で切れます。
プレタールを飲んでいる方は動悸やめまいなど体調が悪いと出るかもしれません。
動作をゆっくりにしましょう。効果は3日で切れます。
ワーファリンを飲んでいる方は外傷や転倒に注意し食べ物も不規則になるので可能
であればPT-INRを早期に確認してもらいましょう。効果は2日で切れます。ワーファ
リンは夕方に飲んで翌朝採血です。
脳出血の方や動脈瘤がある方はストレスと寒さで血圧が高くなっているので塩分が
多くならないように注意してください。高血圧の薬はなくならないように注意しまし
ょう。利尿薬を飲んでいる方は脱水に注意してください。
○てんかん
痙攣予防のために抗てんかん薬は必ず飲みましょう。不眠やストレスなどが発作の
引き金になることがあります。大変な環境下とは思いますが規則正しい生活を心がけ
てください。多くの患者さんは震災前に30~90日分の処方をされていると思いますが、
今のところ抗てんかん薬の製造は問題なく、時間とともに被災地にも十分な量が届く
と思います。急にやめるとそれだけで発作が起こることもあるので、薬がなくなる前
に受診しましょう。 http://www.neurology-jp.org/news/emergency.html
意識を失う痙攣、もしくは過去に痙攣重積状態になったことがある方は、できるだ
け自分の過去の経過と内服歴をメモに書き出し肌身はなさず持っていましょう。
○パーキンソン病
急に薬をやめると筋肉が固くなったり、熱が出たり、意識が悪くなって場合によっ
ては筋肉が溶ける状態になって急性の腎障害に至ります。多くの薬を飲んでいる場合
はお薬手帳を携行しましょう。
薬の量が足りないとうまく動ける時間が少なくなることもあります。転倒や寝たき
りにならないように周りの方のサポートが必要です。
また認知症を伴っている場合には幻覚・妄想を抑えるために統合失調症でよく使用
されているお薬を服用していたのを急にやめてしまうと幻覚や譫妄状態となり昼夜逆
転や夜間徘徊、正常な会話ができなくなる方もまれにいらっしゃいます。外に出て迷
ってしまわないように注意が必要ですし避難所での居住は不可能です。
○多系統萎縮症
喀痰の排泄障害や嚥下障害、排尿・排便障害などを薬でコントロールしていること
が多いため、被災地では特に肺炎や尿路感染症、腸閉塞に注意が必要です。
○重症筋無力症
免疫抑制剤(タクロリムス、ネオーラル)やステロイドは決めた用量を守りましょ
う。
ただしストレスが多い被災地での環境下では感染症のリスクが上がります。以前に
結核を行ったことのある方は微熱や夜の多汗に注意してください。皮膚も弱くなって
いるので可能であれば保湿をお願いします。
全身型の方で全身症状が少しでもある方はできるだけ被災地から離れて医療を受け
てください。胃潰瘍の危険性があるので抗潰瘍薬は急にやめないようにしましょう。
ステロイド内服で骨粗鬆症の薬(ビスフォスフォネート)を内服している方は口腔
内を清潔にして、女性の方は重い物を持たないようにしましょう。
ステロイドを急にやめるとステロイド離脱症状が出ます。からだのだるさや発熱し
た場合には注意し、下痢、低血糖による意識障害も起こることがあります。
免疫抑制剤の一部は腎機能が悪化することもあります。十分な栄養と水分の摂取が
必要です。
○多発性硬化症
インターフェロンや免疫抑制剤を使用している方は急にやめずに治療を継続してく
ださい。治療薬は十分あります。免疫抑制剤使用の方に関しては感染に注意すること
が必要です。再発時はステロイドパルス療法が必要ですが免疫力が落ちるので感染に
注意が必要です。
○NMO(視神経脊髄炎)
ステロイド少量もしくは免疫抑制剤を内服していると思います。再発時にはステロ
イドパルス療法とその後の内服ステロイド治療、また時には血液浄化療法が必要です。
総合病院での治療が必要となりますが、治療中・後はかなり免疫力が落ちますので被
災地を離れた場所での治療が望ましいと思います。
その他の疾患に関しましてもご不明な点などございましたら以下までご連絡いただ
ければ幸いです。
nounaihelp@juntendo.ac.jp
FAX 03ー5800ー0547
ラベル: 社会
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