2011年7月10日日曜日

七夕の日に


東電は、ひいては日本は、その中心部(中心部!?)では何も変わっていないのかもしれない。(とんぼ)

七夕の今日、放射能から子供を守ろうとする母親たちが東京電力に「原発を使わない電気を供給して下さい」と要望した。(主催:いのちを守るお母さん全国ネットワーク)

 テレビや政府が「放射能は心配ない」と喧伝するのとウラハラに子を持つ母親の不安は募る。首都圏の母親たちが公園の放射線量を計測したりするのも子供を守りたい一心からだ。

 “二度と原発事故を起こしてほしくない”、“これ以上放射能汚染を拡大してほしくない”母親たちの悲痛な願いが東京電力まで足を運ばせたのである。

 母親たちが要請に行くことは何日も前から東電側に知らせており、東電も「受ける」と答えていた。七夕に合わせて浴衣がけの彼女たちは要請文を手に内幸町の東電正門で東電担当者のお出ましを待った。

 だが鉄柵は隙間なく閉じられ、対応したのはガードマンたちだった。「いのちを守るお母さん全国ネットワーク関東支部」の横関彩子さんが、東電側がなぜ出てこないのかを問うとガードマンのリーダー格が携帯電話をやおら取り出し社内と連絡を取り合った。

 「応対するのは3人まで。残りの人は(車道を挟んで)向こう側に行って下さい。それが条件です」。これが東電側からの伝言だった。

 総勢20人以上いるが正門前は天下の公道なのである。公道の人数まで制限するところがいかにも東電らしい。政府さえ恣に動かせるのだから、道路交通法さえ自らに都合のいいように運営できると思っているのだろう。

 参加した母親たちや支援者は3人を残して不承不承、車道を挟んで向こう側の歩道に移動した。

 すると東電社員がおもむろに1人出てきた。原子力担当者とまで行かなくても広報あたりが対応するのかと思っていたらそうではなかった。出てきたのは警備長だった。社員ではあるがガードマンを束ねるのが業務で、原発も放射能も関係ない部署の人間なのだ。

 それでも横関さんはめげずに要請文を読み上げた――

 「福島・日本全国・世界の子供たちが安全な空気・水・食べ物を手に入れられる、安心して暮らせる日本社会・地球にして下さい。原発を使わない電気の供給をお願い致します……(後略)」

 要請文に添えて子供たちは警備長に短冊を手渡した。七夕にちなみ母親たちが短冊に願いをしたためたのである。『放射能におびえない生活に戻りたい』『安全でおいしい肉、魚、野菜が食べられるようになってほしい』・・・いずれも子供の健康を願う母親としてごく当たり前のメッセージばかりだった。

 短冊が東電幹部の目に留まることはあるまいが、もし見たとしたら彼女らの願いをどう受け止めるだろうか。
(龍作ジャーナルより)

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