2011年7月13日水曜日

一方ではこういう動きもあります(田中龍作ジャーナルから)


幼な子をおぶって参加する母親の姿も目立った。(12日、全電通労働会館。写真:筆者撮影)

 全国の親たちが結束して「脱原発」の声を上げることになった。各地でめいめい放射能の除染や被曝防止に取り組んできた父母が全国的につながったのである。その名も「子どもたちを放射能から守る全国ネットワーク」。12日現在で北海道から沖縄まで101団体と個人資格の735人が参加を表明している。

 同ネットワークの発足集会が今日、都内で開かれた。30度を超す炎天下、幼な子を抱えた母親たちが会場に足を運んだ。急な呼びかけにもかかわらず400人余りが集まり会場は満席となった。出席者の98%は女性すなわち母親だ。

 各地の代表が汚染状況や取組みを報告した。「給食問題」をめぐる発言が目立った。東京・中央区の母親は「区に食材の開示と、不安な人は給食か弁当かを選択できるよう求めた」と話した。

 この後、事務局を東京に置き、▼全国の状況について情報交換する▼国政に働きかける▼食品の安全基準を自らで設けることなどを確認しあった。

 東電福島原発の事故は収束のメドさえつかないのに、経済界や政府は原発の再稼働に前のめりだ。
 こうした状況のなか「子どもたちを放射能から守ろう」と親たちが全国的につながった意義は大きい。このためマスコミ各社が珍しく取材に訪れた。母親たちは複雑な思いでそれを受け止めたようだ。

 「100mSvまでだったら浴びても大丈夫」「それ位の線量であれば食べても心配ない」などとする御用学者のコメントが連日テレビで流されたからだ。彼女らのマスコミ不信は大きい。

 墨田区に住む母親は「面白半分ではなくて真実を報道してほしい」と訴え、司会者は「震災以来テレビを壊そうと思ったほど…」と沸かせた。

 マスコミが政財界の御用機関として福島原発の事故後も安全神話を垂れ流し続けていることを快く思っていないのである。

 発足集会には俳優の山本太郎さんが駆け付けた。「脱原発発言」で所属事務所を辞めざるを得なくなった山本さんは、前日の11日には佐賀県にまで足を伸ばし、玄海原発の再稼働反対集会に参加している。

 山本さんは筆者のインタビューに次のように答えた―
「(原発政策の)流れを変えてゆくのは女性たち。命を生み、命の重さを知っているお母さんたちの声が聞きたくて参加した。彼女たちに負担をかけてしまって男として申し訳ない」。山本さんは女性ばかりの家庭で育ったのだそうだ。

 山本さんがいみじくも指摘するように、女性とりわけ母親が世論に与える影響は大きい。格好の例が選挙だ。女性を敵に回して選挙に落ちた政治家は数知れない。現職の大臣さえ落選の憂き目に遭うほどだ。

 「NO! 放射能 江東こども守る会」の石川綾子代表は全国の親たちが手をつないだことの意義を強調する―「地域だけでは限界がある。大きなかたまりとなって行政や議会が無視できないような状況に持っていきたい」。

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