2011年4月17日日曜日

米権威が激白「原子炉データ悲惨!」 日米の数値に大きな開き…

東京電力福島第1原発事故の“尺度”が「レベル7」に引き上げられ、「史上最悪」といわれるチェルノブイリ原発事故に並んだ。そのチェルノブイリ事故で米共同調査チームの代表を務め、今回緊急来日していたジョージア大学のチャム・ダラス教授が帰国前日の12日夜、夕刊フジの単独インタビューに応じた。ダラス教授は第1原発について「米軍やIAEA(国際原子力機関)が独自に収集した原子炉のデータは悲惨」と明かしたうえで、「ここ2、3週間が(安定化への)ヤマだ」と分析した。

 ――日本政府は12日、福島第1原発事故をそれまでの「レベル5」から、一気に「レベル7」に引き上げた

 「驚いた。放射性物質のデータなどが急上昇したのか、地震の影響を考慮したのか、もともとレベル7だったのか…。普通では考えられない」

 ――推定放出量こそ少ないが、第1原発の4つの原子炉にある放射性物質の量は、チェルノブイリを上回っている

 「その通りだ。第1原発にある放射性物質の総量は圧倒的に多い。ただ、チェルノブイリに比べると火が出た時間は少なく、推定放出量も10%ほどだ。もちろん、10%でもかなり多いのだが」

 《一気にレベルを2段階も引き上げたことについて、自民党の小池百合子総務会長は『(菅直人政権の)初動の遅れがレベルを上げてしまったのでは』と指摘し、みんなの党の渡辺喜美代表は『政府が事故を過小評価していたことがバレてしまった。菅政権の責任は重大だ』と批判した》

 ――12日朝、4号機の放水口近くにある海水のサンプリング建屋から一時、火が出た

 「バッテリーから漏電して燃えたもので、あまり影響はないだろう。むしろ私としては、1号機から3号機がレベル7で、4号機がレベル4という判断が理解できない。1-4号機が一緒でなければおかしい」

 ――来日直後、日本政府の情報提供に不満を漏らしていたが、十分な情報提供を得られたのか

 「日本政府や東京電力は相変わらず核心情報を出さない。私は今回、米軍やIAEAの独自情報を入手した。一般科学者は見られないもので、詳細は明かせないが、原子炉内や原子炉周辺のデータはかなり悪い。一言でいうと悲惨だ」

 《外交関係者によると、米軍と日本政府の放射線量などの数値が大きく食い違うため、米軍が困惑しているという。米国と日本の検査方法の違いとの見方もある。今後、米軍の協力を得る際の障害になりかねない》

 ――米国は退避基準(50マイル=80キロ圏外)を変えるのか?

 「現時点では、50マイルでいいだろう。ただ、大きな余震も続いており、地震の影響を考慮するなら、広げることも検討すべきかもしれない」

 ――ダラス教授は今回、都内各地で放射線量などを測定した

 「東京は基本的に安全だ。放射性物質は検出したが許容範囲といえる。ただ、放射性物質は下の方にたまるため、道路で寝るような人は注意した方がいい」

 ――放射性物質を含む汚染水の太平洋への放出はどうか

 「これは、かなり深刻だ。大気中への放射能汚染よりも、海洋汚染のほうを懸念している。地上できちんと保管する方法があるのに、どうして東電はやらなかったのか。科学的にも絶対にやらないほうがいい。私は同意できない」

 ――ロシアの原子力専門家は、日本の汚染水放出を「国際犯罪だ」と批判している。ダラス教授も「犯罪的」と思うか

 「その表現については分からない。汚染水放出は科学的にやるべきではない。未来の人たちのためにも」

 ――結局、滞在中に寿司は食べたのか?

 「食べていない。寿司は大好きだが、測定して『放射性物質を含んでいない』と結果が出ていないので」

 ――今後、日本人はどうすればいいのか?

 「第1原発は、ここ2、3週間が安定化できるかどうかのヤマだろう。ニュースには注意したほうがいいが、東京周辺の人たちは、美しい桜を見に(外に)出かけてもかまわないだろう」

 【Cham Dallas】1953年、米テキサス生まれ。テキサス大卒。毒物学、生物学を専門とする科学者。ジョージア大学教授で、大量破壊防衛研究所所長。86年のチェルノブイリ原発事故の3年後の89年から99年まで、米政府とジョージア大の現地共同調査チームを率いた。CBSのニュース解説員も務める。先週、米医師会の医療災害サポートチーム団長として来日し、13日に帰国。ゴールデンウイーク明けに再来日する予定。

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