2011年7月3日日曜日

ガントレット


ソンドラ・ロックとイーストウッドがいい仲になるのは、この映画の前年「アウトロー」という作品の中であったのだから、この映画のソンドラとイーストウッドはいささかなまめかしい。

ここで言うなまめかしさとは、いわゆる巷間言われる「なまめかしさ」ではなく、男と女の関係のもつやや動物じみたののしり合いが、愛情の交歓に見えるといった種類のまったくもって男と女というものは…的ななまめかしさ、やるせなさ、わけのわからぬ磁力のようなものを指しています。

こればかりは経験を通さねばなかなか感じられぬもののようで、わたしのそれも不毛でどうにもならぬ女性とのやり取りの中で身についた感覚で、それでよかったのは、「ガントレット」にそれを見ることができるご褒美くらいのものです。(これが、なかなかに得がたいのですが)

そういえば、このところちらりちらりと読んでいる藤沢周平氏には、この女の厄介さによく通じていると思わせる部分があって、しきりにこの人の洞察力に感服させられます。
まじめな方だと思っていますが、こういう藤沢氏のような方がふと「…悪女がいい。…私はこのテの悪女の純情というのに弱くて、つい肩入れしてしまう。」と藤沢さんがエッセイに述べておられるのを読んだりすると、わたしも好みだけは、そのあたりに来たのだなあと感慨いにふける。

多かれ少なかれ、男の行き着く先は悪女につきるのであって、それが悪女の姿がトンと見えないというのであれば、恋愛においては、まだとば口に過ぎない幸せな場所に立っているということなのだろうと思う。
もちろん、それでいいのです。
悪女にひきつけられるようになってしまっては、火傷も何度かしなければならず…。
まあ、大変でしたね、イーストウッド監督も藤沢さんという先輩方も。

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