2010年5月22日土曜日

本日の楽しみ

本日の楽しみは、「亀岡テーラー」を代田橋に尋ねることです。

わたしは一級技能士の亀岡さんにスーツを注文している。
市価にすれば、50万は下らぬそのいかしたスーツは、わたしの宝物になるだろう。
決して虫などに食わせぬ。

亀岡さんとの話は楽しい。
抜きん出た技能を持つ老人との話は何物にも代えがたい。
彼にとって、見聞きしたすべてが仕立てるスーツに流れ込んでいるのがわかる。

見聞きしたすべてが仕事に流れ込むというのが、職人の職人たるゆえんで、素人には何回生まれ変わってきてもわかることではない。
及ばずながらわたしの文章にもそんなところがあって、第三者からこれは仕事だ、これは遊びの文章だと言われると愕然とする。
愕然として、そう言った奴の顔を眺めてみれば、痴呆の顔。

最近は、痴呆の顔ばかりよくはやる。

一人でも多くの素敵な若者を育てたいものだ。

わたしが、その素敵な若者だったかどうかはずいぶん疑問だが、こうして亀岡さんに会いに行き、亀岡さんの笑顔と仕事のお話を聞ける幸せは何物にも代えがたいし、生まれてきた醍醐味だともいえる。

昨今のスーツ事情を語るときの亀岡さんの顔は悲しくて正眼しづらい。
若者に痴呆は多い。
いい物を見てこなかったせいだ。
いい人に会ってこなかったせいだ。

若者の痴呆具合にはこちらも責任がある。
痴呆の青年を眺めるたびに、もちろん娘もその例外ではないが、わたしが彼らに何の影響力を持たないことに愕然とする。

にもかかわらず、奴らはあんなふうに嬉々としている。
頭を下げるしかない。

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