2007年8月14日火曜日

ミリキタニの猫


「ミリキタニの猫」は、リンダ・ハッテンドーフ監督がとったジミー・ミリキタニ氏に関するドキュメンタリーなのだが、
当時ミリキタニは80歳だった。9・11の少し前からの映像である。
この映像はさることながら、会場で面白いエピソードに遭遇した。

試写の後、監督が登場して、質疑をしたわけだ。おそらく配給会社の「パンドラ」が仕切っていたのだろう。
間違っていたら、ごめんなさい。
でもって、くだらぬ上っ面の質疑が進行していくわけさ。
あんまりくだらないんで、私も監督に聞こうかなと思って、

「ミリキタタニの猫」って邦訳なんですけど原題は「The Cats Of MIRIKITANI」でしょ。
この「CATS」を「CAT」と単数にしたら、映画自体も変えなければいけなかったですか?
あるいは、映像は「CAT」ではなく「CATS」をしっかり意識してとりましたか?

なんてことをさ。

そしたらば、ちょうど質疑が終わってしまって御年87歳になるミリキタニの爺さんの登場となったわけだ。
主催者側は、式次第みたいなものがあったのだろうが、
ミリキタニの爺さんはゴチョゴチョ言ってから、いきなりわけのわからない昔の演歌みたいなものを歌いだした。
主催者は、待ってくれという感じなのだが、
監督の女がなかなかいい奴で、
まあいいではないかという調子で主催者をなだめる。
なるほどこの女はいい奴で、しっかりとこの奇妙な爺さんと関係を作ったのだろうとわかる奴にはわかる仕掛けにたくまずしてなってしまった。

そうこうする間に爺さんはいい調子で2番までえんえん歌いきってしまう。
その後、主催者側の司会の女は
「大変素晴しい歌をありがとうございました」だって。

素晴しかないよ。
わけのわからない歌だったよ。

だけど、87歳のミリキタニの爺さんは歌いたかったんだろ。
よかったじゃないか。

「わけのわかんない歌、聴いてくださってありがとうございました。」
「どこか、『ミリキタニの猫』とつながる感じがしました。」
なんてね。

いやあ、わけのわからぬ爺さんだった。
けど、映画観てわかるんだが、あの国家(=アメリカ)に翻弄されていく自分史をわけのわからぬありようで生き抜いてきたというのは、
じつにわけがわからんね、じいさん。

映画の最後で爺さん言ってたよ。

今までは、アメリカ政府のやり方にずっと腹を立てていたが、いまは違う。

「Passing thorough」だって。

60年前に収容された場所に行った帰りのバスで爺さんは言っていた。

私は自分の質問を思い出し、つまらぬ質問をしなくてよかったと思った。

いい映画だったよ、監督。

よかったよ、ミリキタニの爺さん。

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