2007年8月11日土曜日

犬式


誰かを憎むことを知る
その中でしか出会えぬものを見すえる

確かな意識の下、誰かを憎むとはそういった作業だ
深く、そして、激しく、誰かを憎むことによってしか、そこに、い続けてはくれない感情 を――

目の前の男が、あるいは女が、どれほどおまえへの好意に満ち溢れていようが、
憎むことでしか見えてこない実態はそこにもある

おまえの知らない先であったとしても――
そこには……ある

おまえの知らないものを、おまえとして、おまえに出会うことをさせるために
……こそ憎しみはそこにある

その憎しみの前でおまえは何ものとしてあり続けるのだろうか
その憎しみの前で、おまえは大きく目を見開いてい続けられるのだろうか

確かに今いるおまえが確かに今もいるように
憎むことでしか現れることのないおまえ自身を幾度も憎みながら

そして
さらに憎みながら

なにものかにささげるかのようにだ

そこにはない何ものかに

おまえはタクラマカン砂漠にあらわれるホータン川を見たのか
季節に呼び覚まされるように
崑崙山脈に冬に降る雪や氷河が夏の間に解けて
飛ぶ鳥のいない天高く

おまえはそこにいるのか

愛と何度も叫びそうになる
季節の川の流れにもならない
哀しきおまえのなかのおまえを
ただ抑えることをしながら

そこにあることだけを願えるのか
願えるだけのおまえを
まだ願えるのか

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