2008年10月23日木曜日

過剰なる反応

もう少し人は静かに物事に対応していたように思うが、昨今ははっきりさせなければ伝わらないかのように過剰に反応してみせる。

私見ではあるが、あれはまさしくテレビの影響であろうと思う。
テレビでは過剰なる反応はわかりやすさにつながり、それをテレビ芸の基本としている。
笑うだけでは足らず、手を大きく叩くのはその代表的なテレビにおける演技の基本だ。
その基本が、テレビを浅くしているのは言うまでもないが、テレビの視聴者を教育しているのも間違いない。

ひとはもっと密やかに物事に接していたものだ。
道端の雑草に眼をやって眺めることも出来たはずだ。
そういう細やかな日常を失っていくのはテレビの生活への浸透と軌を一にしている。
ひとは知らぬ間に影響を受ける。
そして、知らぬ間に受けた影響は根深い。

語らねば、ジェスチャーを入れなければ何ものも伝わらないとするテレビの発想は、ひとつは当たっているが、一つは大きくずれている。

人は黙ったままの応対も出来る生き物で、喧騒ばかりほしがるものではない。
あまり自分を浅薄な生き物と思わないほうがいいのだろうと感じることがある。

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