2008年10月19日日曜日

記録がなければ人はいない

日々人は、日本の世界のあちらこちらで生きているわけで、この事実は動かしようがない。
けれども同時にそのように生きている人のことを知らなければわたしたちにとっては、その人たちの存在がないのも事実だ。

燃油の値上がりで漁業に携わる人々の存在が頭の隅に引っかかったが、これまでそれほど深く彼らを知らなかったこととこれからもさらに深くは知らないであろうことを思う。

宮本常一という巨人がいるが、彼の著作がなければわたしたちの知らないところで人々はそのまま消え去ってしまったのだろう。
宮本常一を通し彼らの生きた生活からわたしたちが何がしかを考え起こすことが出来ることは大きな財産だ。

現時点での報道を見ていると宮本さんの「忘れられた日本人」というタイトルそのままに多くの日本人が忘れ去られているように思う。

ひとはマスではとらえられない。

客観的な数字を論じることの重要性はよくわかるが、実際に生きている人々の具体的な生活を無視しては何も語ったことにはならない。
それぞれの人々の生活を採集せよといっているのではない。
全国から起こっている小さな人間たちの小さな声を救い上げるような方向を期待するといっている。

それは政治がやってくれるにこしたことはないが、そうでなければわたしたちから動かなければなるまい。
なぜなら、わたしたちがそもそもその小さな人間たちの一員だからだ。

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