2009年7月4日土曜日

社会の状態と犯罪についての関係を考えるとき

この社会との関係性における犯罪考は、おそらく複雑な問題だから、複雑なまま捕らえていかざるをえないように思う。

それには、小説という方法があるが、この方法は捕らえたようでいて捕らえていないかに思える欲求不満が残ることが多い。(それは欠点ではない)

わたしたちは何かを考えるとき、シンプルな答えを求めがちだ。(切れ味さわやかな解答といったものだ)
だから、この世界は複雑だなあという感慨で終わる小説にはあまり感動しなかったりする。

けれどもこの世界の複雑さを一つの物語を通して見せてくれるというのは、それだけで評価すべきことであると思う。
少なくともわたしは。

たとえば、解決策はないとか解決するには困難すぎる道を歩かねばならないという結論であっても、その取り出し方が納得させる作品もある。

思っているよりずっとこの社会の病理は深いとわたしは思っている。
それに何度か書いたようにこの地球で生活するのには、もはや人類は大幅にその人口をオーバーしているという前提が提示されていたとしたらどうだろう。

そりゃあ評論家のようにああだこうだといってまとめるのは心地よいが、大切な問題の中にはとても複雑で気のきいたコトバからするりと逃げ出すものも多くあって、いま起きている犯罪もまたそういった種類の問題かもしれない。

その場合は、決してまとめようとはせず、その複雑さを丸抱えするような立場で相対さなければならないのだろう。
ほんの少しすっきりしただけで、問題が浮かび上がることもあるのだ。

日本の試験でもあるまいし、なんにでも正解があるわけなどないのだ。
そういう保証は、この社会の問題では一般に成立しない。

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