2009年7月11日土曜日

単一民族

日本が単一民族でないことは、よく知られた事実だが、その日本国内での民族間のあり方は、中国やアメリカやロシアとは大きく変わっている。
もちろん、ゴスニア・ヘルツェゴビナとも違う。

海外の民族紛争には宗教の問題や差別の問題が横たわり、日本よりも過激かつ複雑になっている。
だからといって、日本が過激でなかったかといえば、歴史的にはそんな単純なことはないのだろう。

張亜中・台湾大学教授 によれば新疆ウィグル地区の暴動は発生の背景に三つの要因を挙るという。

まず新中国成立以来の共産党政権の辺境政策、民族政策の矛盾だ。

共産党政権は新疆の石油を極めて低価格で買い上げる一方、工業製品を高価格で売りつけ(辺境を搾取し)た。政治犯収容所や核実験場も設けた。
さらに漢族の入植を大々的に進めた。
1949年には新疆ウイグル自治区の漢族人口は全体の4%だったのにいまは41%に増えている。
これらが新疆のウイグル族の不満や不安を拡大した。

次に91年のソ連崩壊でタジキスタンやウズベキスタンなど(トルコ系民族国家)が独立したことが、同じトルコ系ウイグル族の独立心を鼓舞した。

さらにグローバル経済の進展が中国の民族間所得格差を拡大し、矛盾を増幅している。西部大開発で漢族は大きな利益を得たが、ウイグル族はそれほどでもないからだ。
9・11米中枢同時テロ以降は(イスラム教徒の)ウイグル族に対する内外の警戒・差別が強まり、彼らの孤立感・喪失感を強めた。

その背景を下に暴動のきっかけとして、広東省広州の玩具工場における漢族とウイグル族のトラブルが起こった。
工場経営者は政府の少数民族政策に沿って、1万人の工員中600~800人のウイグル人を雇用していた。しかし南方の広東人とウイグル人では考え方や生活習慣に差がありすぎた。

どちらにしても起こるべくして起こった暴動であり、ひとつの民族が他の民族をがむしゃらに搾取し、勝手放題することは出来なくなってきているのだ。

あの独裁国家中国でさえ、チベットに続いてウィグルなのだから。

では、日本はといったとき、それは自殺の問題として所得格差が吸収されているにとどまる。
大きな暴動は起こらず、無目的な無差別殺人が起きる。

いまのところはそうだが、これは徒党を組んだ暴動に発展するのだろうか。

日本に暴動が起こらないことに関しては、今後、議論する価値があると思う。

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