2010年6月11日金曜日

新宿思いで横丁


新宿思いで横丁にはずいぶん通ったことがある。
「すし辰」「埼玉屋」「ささもと」「若月」「カブト」「朝勃」「岐阜屋」…
いまでも、上記の店なら顔がきく。
自慢にもならないが、気散じにはなる、と書けば怒り出す店主の顔が浮かぶ。
昨夜はちょいとうまい「もつやき」を食いに「ささもと」に寄る。
ここの「もつやき」は有名だ。
「もつやき」と言っても、まず煮ることから始まる。
店頭近くにドンと構える大鍋にもつを刺した串が沈むとそこからどうするかの話になる。
いやいや、もっと正確に言えば、大鍋につける前に刺身で食べる串もある。
「生でくれ」
と声をかければ、皿に乗せて出てくる。
客はたいていそれをねぎしょうゆで食す。
また、大鍋に沈んだ串はそのまま煮ただけで食べてしまうものもあるが、多くはある程度煮たら(串によって時間が違うのだが)焼きに回る。
そして食す。(もちろん、焼きだけのものもある。牛刺しになりそうな牛肉などは軽く炙って提供される。美味なり。)
昨夜の出色は「ミョウガのベーコン巻き」。
こいつはうまかった。
興に乗って食ったが、もともと肉である。
かなりの脂が今も体に入ったと感じる。
これは身体に悪いワイ。
今朝は歩くことにしている。
この日、ここの親父と面白い話をした。
焼き場の火をこのごろはとても強くしないとダメだというのだ。
備長炭をいじりながら(彼は目立てみたいなものだと言っていた。いい表現だ。)、若いときは注意がまわりに行き届いたが、いまは散漫になる。その散漫になった注意を火の強さでもう一度喚起するのだと言っていた。
「ささもと」の親父はなかなかの表現者だ。
黙って聞いていると、いくつものことを教えてくれる。
特徴は、すべてもつ焼きの話を中心にしているということだ。
羽生の話が将棋を中心にするようなものだろう。
この日もついつい食いすぎて、串は10本を超えた。
どうもいけない。
身体に悪いものはうまくて困るのだ。

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