少年譜
少し精神の彷徨がおさまってきたので、伊集院静の「少年譜」を読む。
読んでみて感じるのは、早、この人は自分の世界を持ってしまっているということだ。
そして、おそらくその世界には何人かの読者がついているのだろう。
どこかやさしげなその視点をわたしも愛している。
それは色川武大の一部でもあるやさしさだ。
この種のやさしさは、思えば、この生きている世の中で見かけなくなった。
ここでは、あやまちをあやまちとしてしか見なくなった。
人はあやまちをする動物だ。
それをどう受け止めるかで随分様相は変わってくる。
この小説世界の中に存在するような人々がまだどこかにいるのだろうか。
遠い目をしてしまいそうな気分になる。
ラベル: 小説
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