2007年10月27日土曜日

ダルビッシュ・有



本日より日本シリーズの開始だ。
わたしは個人的にはダルビッシュ・有に勝たしてやりたいと思っている。
まあ、肩入れしているわけだ。
初戦が彼の登板だが(本当にそうだろうな)、このときの相手が中日の川上憲伸になるだろう。
この川上憲伸はもっとも相手にしたくない投手だ。

詳しくは野球好きの人たちが語ればいいことなのでよくわからないわたしは書かないが、この初戦は両チームともに勝ちにきているわけだから2勝の価値があることになる。
1勝すべきところが1敗になるわけだから差し引き2勝というわけだ。
このシリーズはこれで決まりみたいなものだ、何かほかに大きな力が働かなければ。
野球もまた流れが決める。
だから、わたしはせめて初戦だけは見ておこうかと思っているところだ。

いま、何かほかに大きな力と書いたが、じつはそのことに触れておきたい。

今年の日本ハムの開幕直前、3月22日に勇翔寮寮長の菅野光夫氏が亡くなった。
その悲報を聞いたダルビッシュは練習中、目を閉じたままボールを握り、口づけをしたという。
あの05年、つまりは彼の1年目キャンプでの喫煙問題が発覚した後ダルビッシュは、沖縄から鎌ケ谷へ“強制送還”された。そこで謹慎生活に入ったのだが、そこでのことだ。
寮長になったばかりの菅野さんは彼に毎日反省の日記を提出することを要求した。そうして、人目を忍んでキャッチボールの相手をしてくれたという。
そのとき、どういうやり取りがあったのかは知らないが、彼の死に際し、目を閉じたままボールを握って口づけをしたとき、彼が夕暮れのキャッチボールを目の当たりにしていただろうことはわかる。

菅野さんの葬儀のときに報道陣に問いかけられたダルビッシュは「ちょっと…」と口ごもり手を顔の付近で力なく振るだけだった。そして、大阪への移動が始まるまで待機場所となったバスの中、じっと故人が眠る斎場を見続けていた。

おそらく高校球界で有名だったダルビッシュはとてもつまらない男だったのだろう。
そういう風になってしまう男は多々ある。
その男が
「今もまだ亡くなったって信じられないのですが(葬儀の時に)、心の中で日本一になるって誓ったんです」と言っている。
ダルビッシュは2年連続日本一の称号を手に入れてから墓前に向かうつもりだ。

あのつまらない男が、このごろのインタビューを聞くと嘘のようだ。
人はこんな出会いを持つことがある。
わたしは二度と彼の手に戻らないこの出会いへのはなむけとしてこのシリーズは彼に勝たしてやりたいと思っている。
いい人に会えて、本当におまえはよかったと心底思っている。
あいつを菅野さんの墓前に行かせてあげたいではないか。

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