柚餅
とある人にいただいた柚餅を食した。
以前ほど酒を飲まぬようになってから甘いものを欲するようになっている。
(酒飲みが酒をやめたときによくある傾向で、アルコールが最後には糖分に変わることを教えている)
さて柚餅とは京都の今出川堀川の「鶴屋吉信」のあの柚餅だが、少し甘すぎるかなとは思ったが、和三盆の味がしっかりしていた。
甘いものの味がわかるというのも悪くはないと思った。
その甘いやつを食べ終わったわたしは図書館に出かけたのだが、そこで興味深い光景を目にした。
わたしがマンガを読むテーブルをひとつおいて左側には可愛い少女がなにやら勉強していた。
可愛い少女が一生懸命何かをしているのを見るのはいいものだ。(たぶんフェニミスとが何やかやと文句を言う感想だろうが、ままよと思う)
その少女よりさらに小さな女の子が彼女に近づいていった。
「中学生?」
少女はすこし驚いたような顔をしたが、すぐに気を取り直して「そうだよ」と答え返しているように見えた。
声は聞き取れなかったがそのようなやり取りだった。
それから二人は少し話していたが、なにを話したかわからない。
小さな女の子は親の元に戻り、少女は再び自分の作業に戻った。
その小さな出来事を眼の端で眺めていたわたしは、おだやかな春の日にふさわしく和んでいった。
どんなやり取りをしたのかと不思議に思ったが、特別なものではなかったのだろうと思う。
「中学生かな」と思って近づいた女の子に「そうだよ」と少女が返しただけのことだろう。
しかしながら、そのようなやり取りをすることが、わたしからはずいぶんはなれた出来事に感じたし、そういう自然なやり取りをばかげた憶測をはさまずにサラサラと流れるように交わしていく二人にうらやましさを覚えた。
わたしもまたそのようなやり取りをしたく思うのであったが、どうだろう。
図書館でのそんな情景が長くわたしのなかに残りそうだ。
東京の繁華街で遊弋しているような連中とは裏腹な、わたしが遭遇したこの出来事をわたしのなかの小さな幸せとともにお伝えできればと思って書いたのだが、少しは伝わっただろうか。
ラベル: 日常
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