2008年8月22日金曜日

二重スパイ


長く気になっていた映画だが、今回はじめてしっかりとこの映画を見た。
「二重スパイ」 原作ク・ボナン 監督キム・ヒュンジョン 主演 ハン・ソッキュ

二度ほど中途半端に見ていたが、今度は最後まできっちりと見た。
相変わらず、ラストの「イム・ビョンホ」と呼びかけられて主人公の振り返るシーンは切ない。

人は、何かを信じて生きていく。
何を信じて生きていくのかはそれぞれの自由だが、この映画では、その信じるものが国家ということになっている。
その国家変の信奉の強さが随所の拷問シーンに現れる。
人によっては、おそろしいほどの信奉だ。

国家と個人の問題は、たやすい謎解きではないが、その一端をこの映画は確かに教えてくれる。

そして、イム・ビョンホが国家への信頼を裏切りユン・スミをとるとき、正確には、ユン・スミの自分への信頼をとるとき、信じるものが何であってもそれは自由だという主張が見られる。

しかし、残念ながらそれは国家からは許されぬ選択で、同じ状況はわれわれ日本でも起こっている。

国家を裏切った国民に対する陵辱は、程度の差はあれ無慈悲だ。

そういうことを思わせる映画であり、映画としてもその文法を守りながらよくできあがったものだと思う。

心ある人に一度見てもらいたい。

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