2008年9月12日金曜日

「ビッグバン」再現実験


スイスとフランスの国境にまたがる「欧州原子核研究機構」の研究センターにある「Large Hadron Collider(LHC)」と呼ばれる大型粒子加速器(写真)で、物理学者らが粒子同士を衝突させ、宇宙を誕生させたビッグバンを小規模に再現する計画をもっていて、その計画に世界各国の物理学者が参加している。

この計画はスイスのジュネーブ郊外にある広大な地下施設を利用する20年がかりのプロジェクトなのだが、なんと一昨日の9月10日にこの実験はスタートしてしまっている。

「してしまっている」と書いたのは「ビッグバン」を再現し、宇宙の起源や、どのように宇宙に生命が誕生したかを解明しようとするこの実験にはある危険性が指摘されているからだ。(もちろん関係者は根も葉もない作り話と一笑に付しているが、どうなのだろう)

その指摘はこの実験で小さなブラックホールが生み出されるのではないかというものである。
科学音痴のわたしにはよくわからないが、ブラックホールには何もかも飲み込んでしまうというイメージがある。

事実、[ボーパール(インド) 10日 ロイター]によると、インド中部マディヤプラディシュ州で16歳の少女が、欧州で行われる素粒子加速装置を使った「ビッグバン」実験によって地球が終わりを迎えるという報道にショックを受けて自殺している。

少女は農薬を飲んで自殺を図り、病院に運び込まれた後に死亡している。
父親は地元テレビ局に対し「娘は過去2日、私やほかの身内に9月10日で世界が終わることについて質問をしていた」と話しており、インドのニュース番組はここ2日ほど、スイス・フランス国境の地下に設置された素粒子加速装置による実験で、世界が破滅するかどうかの議論を多く放送していたそうだ。

彼女が杞憂のために亡くなったかどうかは別として(それはとても哀しいことだが…)前述のように大型ハドロン衝突型加速器(LHC)は、すでに10日に運転を開始してしまっている。

とはいうものの、実験はまず、トンネル内の密閉された粒子加速器内でビームを一方向に送ることに始まる。
それを行ったら次にビームを逆方向に送る。
さらに次には、おそらく数週間後に、ビームを両方向に送って陽子同士を衝突させる。(ただし、当初は低い強度で)
その後、恐らく今年の年末近くに、ビッグバンの熱とエネルギーを再現する極小規模の衝突を発生させることになるらしい。

というわけで、年末まではわれわれが、ブラックホールに飲み込まれる可能性はない。

現在、宇宙の起源に関するビッグバンの概念は、科学的な考え方の主流となっている。
それを確かめたいのは科学者の本能なのだろう。
だが、それを確かめるためには想像を超える熱とエネルギー生じる。(この「想像を超える」というのがなんとも不気味なのだなあ)

宇宙学者は、約150億年前にビッグバンが起こったとしている。
とてつもなく高密度かつ高温で、小さな硬貨ほどの大きさの物体が、当時の真空の中で爆発し、噴出した物質が急速に拡散して、星や惑星、そして最終的に地球上の生命が誕生したというのである。

そのときにブラックホールがどのように活躍したのかは知らないが、この問題を真剣に討議する国インドと自民党総裁選や大相撲大麻問題をちゃらちゃらしゃべっている日本との違いはなんだろう。

どちらがどうとはいえないのだが、こういう違いはひどく気になる。

この実験のニュース、大きなニュースではなかったのかね、明智クン。

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