とらふぐ亭
「とらふぐ亭」という安いふぐ屋が東京のあちこちにある。
たまに入ってみたりする。(安いからね)
で、ごく最近も入ったのだが、これがおいしくない。
前は違った。
おいしかった。
口がおごってしまったのだ。
わたしのふぐの師匠に金子という人がいるのだが、この人とふぐをしばらく前に食べたのが効いたのだろう。
完全に味を覚えてしまった。
おいしくないとはいっても安いのだから文句を言うわけではない。
我が口のおごり方が情けないのである。
こういうことはしばしば起こりうる。
前々はよかったものが他のさらに上質なものを知ることで劣化する。
古い言葉で言えば「道徳的摩損」とでもいうべきものである。
しかし、知りたい気持ちに歯止めをかけるのもまたきびしい。
はてさてどうしたものか。
達人ならば、どちらもそれなりに楽しむのだろうと考えてみはするのだが。
しばし、うなり考える。
ちと厄介な話である。
ラベル: 食べ物
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