2009年3月4日水曜日

将棋界で一番長い日

今年の将棋界で一番長い日は3月3日に行われた   。

A級順位戦の最終戦が行われるその日を将棋界では[将棋界で一番長い日」と呼ぶ。
A級にいる棋士は全部で10人、このなかから二人降級し、一人が名人挑戦者となる。
今回は谷川浩司に降級の可能性があり心配したが、見事に残ってくれた。
ざっとA級在籍者を並べれば、すでに谷川さんだけが40代であとはすべて30代なのである。

陥落した深浦康市と鈴木大介を思うとA級の厳しさがわかる。
あの羽生キラーの深浦にしても残留を果たしえなかったのである。
彼はもう何度目のA級とB級1組との往復だろう。

彼がA級に必ず戻ってくることを願う。

そのとき渡辺明とともに戻れるならば、最強のA級がそろうことになる。
勝負の世界はかくもきびしくかくもはっきりと白黒がはっきりする。

だからこそ彼らの礼儀正しさは半端ではない。
相手とオレとどちらが強いかの先に究極の将棋を見ている。
そこに相手に勝ったという満足感だけが残ることは少ない。

個人的には、わたしは今期の名人戦、郷田真隆に勝ってほしい。
かれは将棋を[情念のゲーム]だと見ている。
もちろん緻密な読みのその上に勝負は決定されていくのだが、その先に情念の戦いが待っているというのだ。

まことに郷田さんらしい思いだと思う。

どちらにしても谷川が陥落を免れたことと郷田だが挑戦権を得たことを喜びたい。

わたしも取り乱してばかりではいけない。
あと少しの時間、地道に歩きたく思っている。

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