女王バチ
「獣の奏者」にも詳しい話が出てきますが、ミツバチというのはまことに不思議な生き物でいろいろと研究されているんです。
その生態のなかには何か身につまされるお話なんかも出てきて、ときにはまいったりもするんです、これが。
女王バチなんかもそのひとつで、[獣の奏者」を読んだときも「そういうものか」という驚きがありましたが、昨夜、寝る前に小三治の「ま・く・ら」を読んでいたら、再度、女王バチの話にぶつかり、今度はしみじみとなりました。
もはや春なのですが、春まだ遠き寒い冬の夜の気分になってしまいました。
こういうヶ所なんです。
小三治師匠が、あの鳳蘭が宝塚のスターだったころに対談したそうです。
そのとき彼女が言ったそうです。
「あたしは入ったときからスターでしたから」って。
生意気な女だなあ、こいつは。
そう師匠は思ったそうです。
わたしもそう思うでしょう、ミツバチの生態を知らなければ。
女王バチというのはどうやって決めるのかは知りませんが、生まれたときから女王バチになると決められ、決められたハチはロイヤルゼリーだけを食べさせて育てるんだそうです。
このロイヤルゼリーはご承知の方はご承知でしょうし、ご承知ない方は何か女王バチと関係があるくらいしかお知りにならないでしょうけれど、じつは働きバチが自身の体からもみだす物質だそうです。
こいつをせっせと女王バチにしようと思ったハチに食べさせていくと、そのハチが女王バチになっていくというお話なんです。
これなんですねえ、さっきの鳳蘭が言っていた「あたしは入ったときからスターでしたから」というのは。
宝塚もミツバチ社会に近いところがあるんですねえ。
そこへいくと、わたしなんぞは何になるかを誰かが決めてくれるでもなく、フラフラと生きているもんだから、上げ潮のごみみたいにあっち引っかかり、こっち引っかかりで生きていて、とうとうこんなところまで来てしまって、ときどき泣きそうになる。
この本のその部分に出くわしたときは、そんな気分でした。
しかし、これは浅学のせいかもしれませんが、女王バチにしようと決めるところはあまりはっきりしていないらしいんです。
どうやって決めるんですかねえ、女王バチ。
でも、ふと思えば、女王バチも女王バチで大変なんでしょうねえ。
鳳蘭がどうだったかは別にして。
ラベル: 日常
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