2009年5月29日金曜日

それは豊かな発想だな

登山にアルパイン・スタイルと極地法とがある。
登山家山野井泰史がとっているのはアルパイン・スタイルだ。

アルパイン・スタイルとは、できるだけ軽量化した装備で短期間に頂上を目指す方法だが、それだともちろん危険も深まる。
酸素ボンベもないし、余分な食料もない。

では、なぜにそのような方法を取るのか。

それに対して山野井氏はこう答える。

「できるだけ素のままの自分を山に放ちたいんです」

話としてはまことに美しく、その美しさのほどに納得できる。
けれどもしばし立ち止まれば、なんと豊かな発想かと驚嘆する。
夾雑物がどこにもないではないか。

たどり着けない発想だと立ちくらみしてしまいそうだ。

そもそも「素のままの自分」とわたしは、出会ったことがあるのだろうか。
混じりっけだらけのわたしであることよ。

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