2009年6月5日金曜日

陸軍中野学校


実際の中野学校ではない。
映画の話である。

日本陸軍の諜報員養成機関といわれる陸軍中野学校の実態とその活動を描く邦画。
スパイ映画という邦画では珍しいジャンルで、66年~68年にかけて5本製作されている。
市川雷蔵の現代劇での代表作と言われる。

その第一作を見た。

それがよかった。
主人公の市川雷蔵がいいのはともかく(私は彼のディープファンだ)、彼のナレーションが抜群に映画を引き締めている。
寡黙な映像なのだ。

そしてなんとも哀切な物語とその哀切さに似合うカメラワークが光る。
こういう日本映画を撮っていたのだといまさらながら文化に直線的な発展がないことを感じる。

ヒロインとして小川真由美が出てくるが、彼女演じる布引雪子もまた哀切きわまる。
彼女の持つ心情をわずかながらも心の奥で感じるようになったのがわたしの成長といえるのだろうか。

ずいぶん金と時間をかけた成長だった。

彼女は、最終的に椎名次郎に殺されるが、それがなんともやさしい殺し方だった。
「キリング ソフトリー」と唄うが、あのように殺されるのなら、わたしにもそうしてもらいたいものだ。

名作といっていいのかもしれない。
ご高覧あれ。

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