2009年9月25日金曜日

またやってしまった

「獣の奏者」には続編があるというのであわてて読んでみたら、もうすでに読んでおった。
それを途中まで気づかなんだ。

やっぱりぼけておるんだろうな。

それでもよかったこともある。
この作品がストーリーをどうこうすることに終始せず、エリンの生きる姿にすべてを託しているところにあらためて感じました。

もちろん、エリンは主人公ですし、作品の中だけでしか生きていないわけですから、エリンを追いかけることが作品を作るということと同値になっています。

登場人物は作品の中でしか生きられません。
そのことが、ときに作品を現実以上に重くしていきます。

エリンが生命について考えるときの胸の苦しさは読者へと移っていきます。
作品が息づいているという意味でこの本は本当にいい本でした。

登場人物が造詣できれば勝手にとことこと歩き始めるようなことを書いているものもありますが、いえいえどうして作品の中で登場人物が真に生きることは、とても厄介なことなのです。

作者の得手勝手にいくらでも出来るのですから。
けれども得手勝手にすれば、その登場人物は作品の中からはみ出し死んでしまいます。
このあたりにどこまで真摯に向かい合っているかというところが作品の質につながるのではないかと思っています、私見では。

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