2009年10月20日火曜日

メバチマグロの赤身

マグロにもいろいろあって、並べてみればホンマグロ、ミナミマグロ、メバチマグロ、ビンナガマグロ、キハダマグロ、…とくる。

この中でうまいのがホンマグロで、続いてミナミマグロとなるわけで、通は気取って大間のホンマグロなどと言うけれど、大間のホンマグロがすべてうまいわけではない。

大間にもいろいろあれば、ホンマグロにもいろいろある。

知り合いの魚屋が今日のメバチマグロは特別だ、ホンマグロでもこれにかなうのはそうは出ない、と気合を込めて言うので赤身を少し分けてもらった。

そいつを片手に帰りかけるオレに「出来れば塩で食ってみな、うまいぜ」と言葉を投げかける。

目利きとはいいもので、これが当たった。
うまいことこの上なし。

どこから拾ってきても付け焼刃の知識などはつまらぬもので、目の前のものがいいかどうかは自分の目で決めるに限る。
それが食い物であれば、自分の舌でうまいかどうかを決める。

いつでもその店がうまいかどうか決まったものではない。
打率というものがあり、心意気というものがある。
やさしく見守るには、自分の舌と鑑識眼がものを言う。

自分を信じて生きていきたいものだ。
もう少ししゃれて言えば、自分と付き合いながら生きていきたいものだ。

ところで、その魚屋は信頼すべき目利きで、いつだったかタラを勧めてくれた。

「このタラを食ったらほかのタラは食えない」

と言い放ったが、タラばかりではない、そのタラを食ったあとは、しばらくの間、魚という魚に興味がいかなくなったものだ。

ときにはこんな贅沢もいいもんだ。

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