2009年11月25日水曜日

アメリカにいる、きみ

気になったものだからもう一度アディーチェを読んでみたら、何のことはない達者なもんだ。

あのナイジェリアを背負って、そのなかで人間を描くのは才能といってもいいのかもしれない。
作家の目をこの女性は持っているのだ。

それだから、ナイジェリアのなんであるかを知らない人々を、それはアフリカと言ってしまってもいいようなのだが、彼女は悲しく見つめるのだ。

「生存する危機」「生きている不安」

単純にこの二つのキーだけで彼女の小説を読み解こうとするのには少々の無理がある。
もっと厄介なものを彼女は小説に持ち込んでいて、それが彼女の小説を芳醇にしている。

彼女の小説を読んだあとは愉快になったり充実したりはしないが、世界が広がる感じはする。
そのことは、読者であるわたしにとってもどこか絶望の匂いが漂っている。

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