2011年1月5日水曜日

そうだったのか竜崎さん

今野敏描くところの竜崎伸也にある種の哀切と痛みを感じていたのだが、それが少しはっきりしてきた。
竜崎は日本人的ではなかったのだ。
言うところの辺境の資質をあまり持ち合わせていない。
そこがポイントだったのだ。

「場の親密性を自分自身のアイデンティティの一貫性よりも優先させる」
あの親しさへの固執を持ち合わせていない。

そこに時に痛快で、痛ましさもかもし出させる要因がある。
そういうことであったのだろう。(たぶん…、弱気だね…、まあ辺境人ですから)

そういうわけで竜崎にはある程度高位の警察官僚という役どころが必要だった。
でないと、単に袋叩きに合うだけだから。

その意味では竜崎は辺境人でないことだけを目指して作られた主人公かもしれない。
してみるとなかなか深い小説ではありませんか。

ふむふむ。

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