2007年9月26日水曜日

あなたを愛していた

わたしはだれはばかることなく「マザーコンプレックス」だといっていたが、その言葉に深い依存という意味合いがあるのならば、わたしが「マザーコンプレックス」であるという表現は避けなければならないだろう。
私は彼女を深く愛し、信頼していたが、依存はしていなかった。
もしわれわれの間に依存という言葉が横臥しているとしたらそれは彼女の前にあったのだろう。

わたしの前に一枚の写真がある。
名古屋の東山動物園。
まぶしいほどの光が満ち溢れる砂利の上に、この上ない幸せを手にした母子が映っている。
若い母は、水玉模様のワンピースを羽織り、しっかりと幼児の手を握っている。

その直前までさしていたパラソルはその写真を取った男のもとにあるのだろうか。

悲しいまでに晴れわたったその日、彼女の手は暖かくすこし湿っておりました。
わたしに愛された記憶があるとすれば、その日が最初のことでした。

ラベル:

0 件のコメント:

コメントを投稿

登録 コメントの投稿 [Atom]

<< ホーム