2007年9月20日木曜日

佐藤康光の輝き


第20期竜王戦挑戦者決定戦第三局を佐藤二冠が制した。
第二局における木村一基のえげつない差し回しを見たときには、あるいはと思ったが、やはり佐藤康光の登場となった。

佐藤の今回の挑戦は昨年に続くものだ。
昨年のフルセットは恐ろしいほどのたたき合いだったが、紙一重で渡辺明が防衛した。
そのときはたくましい渡辺の成長を目の当たりにしたのだが、今年は厳しいだろう。
渡辺竜王には納得のいく将棋を指してもらいたいものだ。

佐藤の前には羽生がいて彼はこの男に苦汁を嘗めさせ続けている。
それにもかかわらず、佐藤は何度となく立ち上がり続けている。
しかも昨今はとんでもない筋の攻めを将棋ファンに見せてくれてもいる。
佐藤はその棋風においてももっとも挑戦的な棋士だろう。

その佐藤、今回はどのように戦うのだろうか。
将棋とは恐ろしい競技でどちらかが勝ちどちらかが負ける。
その結果は決定的であり、絶望的である。
だからこそ棋士は将棋をその結果ではなく、二人の対戦者の作品と見る。
いま、佐藤の胸中には何が飛来しているのであろうか。
ぞくぞくする興奮を覚える。

現時点で将棋界を牛耳っているのは羽生世代で、その一角に穴を開けたのが渡辺明というわけだ。
一点突破全面展開は 社青同解放派のスローガンだが、渡辺以外の若手は彼の一点突破を生かしきれていない。
山崎隆之七段、阿久津主税五段、君たちのことを言っているのだよ。
羽生世代、つまりは羽生善治三冠、森内俊之名人、佐藤康光二冠、郷田真隆九段の壁はそそり立っている。
今度の竜王戦は世代抗争の意味でも大きな戦いとなるだろう。

竜王戦は10月10日、サンフランシスコで第一局が始まる。

1秒に1億と3手読むと言われる佐藤。
あの奥歯をきりきりさせながら読みを入れる佐藤の顔が目に浮かぶようだ。

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