2007年9月24日月曜日

マルセル、マルセルと何度もピアフは叫んだ

ピアフの「愛の讃歌」を結婚式で歌う愚を話したのは美輪明宏だが、わたしは歌ってもいいと思っていた。
いまは違う。
その変わったわたしの思いを述べておくことが今日の主題だ。

あの歌、つまりは「愛の讃歌」はピアフが恋する男、マルセルに捧げたものだ。
捧げた歌は彼のいない世界に響く。
そのとき、マルセルは飛行機事故でこの世にない。
その意味でもっとも結晶化された「愛の讃歌」だと思う。

ところで、結婚式でこの歌を歌うあなたはそのことを知っていたのだろうか?

そんなの関係ない
そんなの関係ない
そんなの関係ない
オッパピー

これは消えいく運命の秀逸なギャグだが、それをここに出す意味はない。

あえて、ここに「愛の讃歌」を歌うあなたにその意志を問いたい。
あの歌は愛を讃歌しているが、その讃歌は遠く厳しい讃歌だ。
目の前の祝福されるあほカップルとは深く、さらに深く一線を画している。
それでもあほ面をして歌うあなたにいかほどの思いがあるのだろうか。

「愛の讃歌」
この歌はマルセル亡き後、ピアフの書いた詩による。
いまは別の世界にいるマルセルに捧げた歌だ。

そのことを離れてもこの歌は美しい。
マルセル、マルセルと叫ぶピアフの乱暴で無作法で直線でしかないその声は、この歌に瀕死の状態でたどり着いた。
それがこの歌だと知っておいてほしい。

歌に履歴があり、その履歴を裏切って歌うことは罪であるようにいまの私は思うのだ。

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