2009年3月10日火曜日

天皇もまた…

ここで扱う天皇陛下は天皇制とはまったく切り離された個人としての天皇である。

夕べも小三治の「ま・く・ら」を読んでいると天皇陛下(昭和天皇)を間近に見る機会があったときのことが書いてあった。
詳しくは師匠の著書に譲るが、そのとき陛下がこちらに向かって手をお振りになったというのだが、この振り方が何ともいえぬもので、もう誰にもまねの出来ぬものだと書いてあった。
芸人の小三時がそう書くのだから、これは芸と読みかえていいだろう。

どれだけの数、彼が国民に手を振ったかはわからぬが、その意味はともかく、その手を振る動作は芸として昇華し、もはや手の届かぬ境地に入ってしまっておられるのだという。

彼がどうやって天皇に選ばれたかは、これははっきりしている。(まあ、そういう場所に生まれたのだ)
そうして選ばれた後、彼は天皇になるように育てられ続けたのだ。

天皇もまた、選ばれたその後は女王バチであった。

わたしも一度、いまの天皇と同じ空間に身を置いたことがあった。
あの時、これが同じ人間なのだろうかと思ったことを夕べはっきりと思い出した。

まるで違うのだ。
そりゃあ、人間の形をしていますよ、していますが立ち居振る舞いだけでなくその存在のありようがわれわれとはまるで違うんです。

あれは、女王バチとして育てられたからなんでしょう。

だから、どうだというんではないんです。

人はそれぞれの形でいいんだから。

にしても、天皇制は置くとして、あの天皇陛下という人はあれはまったくわれわれとは違う人だということはしみじみとわかるのです。

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