2009年3月24日火曜日

いい試合でした


いいものを見ました。

WBC最終戦、10回の表ツーアウトランナー二塁三塁、バッターはイチロー。(3-3の同点)
打撃運動の始動にほんのわずかな引く動作を含んでいたためバットがコンマ2、3秒遅れていたイチローのバッティングもようやく今日の韓国戦には矯正されていた。

この試合9回裏、韓国に同点にされるときより尋常のものではなくなってきていた。
そのエンディングにイチローは打席についていた。
韓国は逃げることなく、正しいバッティングフォームに変わったイチローと勝負してきた。
そして、何度かのファールのあとにイチローの打ち放ったボールは計ったように投手の頭上を抜けセンター前に落ちる。
このボールの軌跡のためにすべてのWBCのゲームが行われてきたようななだらかで美しい放物線だった。

野球というものはいいものだと思う。

今回の日本チームの活躍はすばらしかった。

ただ興ざめなことを付け足しておけば、この日本チームが戦ってきた過程とつかんだ優勝はわたしに勇気を与えてくれるものではない。
それが与えてくれるものは観客としてみているわたしの喜びだ。
彼らがわたしにわざわざ与えてくれるものなどなにもない。

彼らにあってわたしにないもの。
それは当事者だけが抱くことのできる果実。

傍観者に抱くことができるものは自分の身のうちから鬱勃と噴出す感動で、その感動は決して与えられたものではなくあなた自身が生み出したものだ。

勇気など他者からもらうものではない。
恥ずかしげもなくテレビではわめきたてるのだろうが、わめきたてるあやつらは内省なき人種だ。

お気をつけあそばせ。

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