陸軍中野学校 雲一号指令
中野学校シリーズの第二作である。
「雲一号指令」の「雲一号」が、なんともいえんですなあ。
次作品は「竜三号指令」となる。
この作品もまた軽々しくなくてよろしい。
軽々しくないためには、まずセリフを絞り込むこと。
セリフでべらべら説明されてもねえ。
「ルーキーズ」じゃあるまいし。
そういえば、このごろの映画は(もちろんテレビはもっとひどいけど、その点向田邦子はドラマをよく知っていたねえ)よくしゃべらせるし、俳優、女優を泣かせる。
あんなことするもんじゃない。
映画は映像なんだから。
それを生かすのに音楽が入りSEが入る。
市川雷蔵もアップを嫌ったみたいだね。
ときに監督にロングをした要求したらしい。
もっとも彼は三島由紀夫に「目の美しい、清らかな顔に淋しさの漂ふ、さういふ貴公子を演じたら、容姿に於て、君の右に出る者はあるまい」といわせたくらいの男だから。
残念ながら詳しく書くには、さらにもう一度調べなおさねばならないが、雷蔵はいいよ。
ああいうタイプは、いまはいないね。
もちろん、ほかのタイプで優れた人はいる。
山崎努とかさ。
ところで、雷蔵は相撲をよく稽古したらしい。
そういうところが映画の中にも見える。
歩く姿がいいのだ。
歩く姿のいい役者。
これは本物だ。
本物を見るのは、なんとも快感だなあ、それも雨のそぼ降る宵にさ。
ラベル: 映画
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