2008年12月20日土曜日

キンミヤ焼酎


ある人にキンミヤ焼酎のことを尋ねられた。

キンミヤはわたしの実家(今はもう誰も住んでいないのだが)の隣町、三重県四日市市楠町の宮崎本店の造っている焼酎だ。
宮崎本店は「宮の雪」という日本酒で、三重では有名な酒蔵であり、なかなかの実力会社である。
わたし個人としては、焼酎に限ればこの酒蔵の「白髭」というごぼう焼酎を実家に帰るたびに好んで飲んでいる。
ごぼうの香りがなんともふくよかで心地よい。

ご承知のように焼酎は甲類と乙類に分けられる。
甲類は糖蜜などを原料にした発酵液から蒸留して得られる高純度エチルアルコールに加水したものである。
ホワイトリカーや韓国焼酎「JINRO」などが有名だが、もうひとつあげておかなければならないのが通称「キンミヤ」、正確には「亀甲宮焼酎」である。

この「キンミヤ」はそのまま飲んでおいしいものではなく、多くは体に悪そうな梅エキスと呼ばれる黄色い梅味の液を混ぜたり(これを飲む人はかなりの酒飲みと思っていい)、チュウハイやホッピーを作る際のアルコールとして利用される。

このチュウハイ、ホッピーに使う焼酎は癖のないほうがよく、したがって乙類より甲類を使うほうがいいとわたしは思っている。
さらに甲類の価格の安さを考えれば、ますますこの考えは捨てがたい。

乙類は甲類と比べて作り方がやや複雑になっており、
まず麹をつくり、その麹をばタンクや甕(かめ)で発酵させることで、もろみを作る。
これを一次発酵と呼び、この一次発酵させたもろみの中へ原材料を投入させ、二次発酵をうながす。
このとき投入した原材料が焼酎の主要原材料として表記されることになるわけで、先ほどの「白髭」はこのときにごぼうを投入したわけだ。

ほかにも米、麦、芋、そば、茶、ごま…と乙類の種類は豊富で変化に富む。
さて、乙類の最後の仕上げは、アルコールを生成した発酵液を蒸留することであり、当たり前のことだが蒸留酒であるのは甲類と変わりない。
しかし、風味というものが乙類にはあるのでホッピーやチュウハイには向かない。
そんなことをすると風味が飛んでしまうのだ。

このところ「キンミヤ」の消費量が増えているのは、その安さとチュウハイ、ホッピーという飲み方の定着によるものだろう。
まあそこそこうまいし、何より安くてしっかりと酔える。

不況下の居酒屋の酒としては今後君臨していくのかもしれない。

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