2009年10月21日水曜日

邂逅の森

「邂逅の森」熊谷達也は、第17回山本周五郎賞、第131回直木賞をダブル受賞した作品で長く読みたいと思っていたが、時の流れにかまけて読まずにすませてきた本だった。

この本は、強烈だった。
下調べも充実しており、下調べの結果の材料の配置も申し分なかった。

それより何より人が自然の中に生きていることを森の中の生活だけでなく、人々の生活の中に浮き立たせていた。
人もまた、この地獄のような人々の狭間の生活の中で生きているのであれば、ふとした気が抜ける時間があってもいいと思う。

そういう時間が、ときにこの小説の中に現れると、その人間の生の姿態にぎょっとしたり、涙したりする。

それは、人間のやることだから、この作品にも傷があるのだろうが、そういうことを読者は口にしてはならないだろう。
それもこれも濁流のように一気呵成に流していってしまうような本だ。

人もまたお天道様を背負うように生きていければいいのだがな。

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