2010年7月1日木曜日

仙台へ行く女

娘のタバコを吸う姿を見たわたしは、帰路につくわけだが、最寄駅に降りてから、ふと電話をしてみようと思い立った。
仙台へ行ってしまう女との仲直りを期してである。
けれども途中の公園からかけた公衆電話にあいつは出ないのである。
二、三度かけてみたが、なしのつぶてである。
なんなんだろう、と思って公園のベンチに一人。
夜の公園は、なんとも反省を促すものである。
ますます仙台へ行く前には仲直りをしなければならないと強く思い始めた頃、わたしの携帯が鳴った。

あなたでしょ、公衆電話から電話したの。
はい…
出ないんだからね、公衆電話には。電話番号が不明な電話には出ないんだからね、わかった?
はい…
で、なんなの?
あの…、大丈夫かなと思って…
大丈夫じゃないわよ。3日には子どもも新宿に来るし。
子どもって、あの高校生の?
違うわよ。下の子よ。今度高校生になる。
そう…
だから、お金いるから、大変なのよ。
うん…
早く返してよね、あなたに貸したお金。
うん…
うんって、いつ返してくれるの。
3日にキミのところに行こうかと思うけど…
うちはダメよ。来る前に電話して。
どこかで会うの?
当たり前じゃない。
デート?
当たり前じゃない。
お金ないから…
わかってるよ。
じゃあ…
会ってる時は、あたしが払ってあげるから、それでいいでしょ。
はい…
来る前に電話してよ、わかった?
はい…

まあ、そういう電話だけど、機嫌は直っているみたいだし、金はもう少し大丈夫そうだ。
でも、少しくらいは、返さないとね。
3000円でいいかな…

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